日本沈没ー希望のひとー

戦後の復興に思いをはせる里城先生を見て、そして悔しそうな表情を見て、この役を石橋さんが演じて下さって良かったと思った。日本沈没が嘘であって欲しいと強く願って、だからこそ沈没しないという意見を信じようとしていただけだったのだと思った。思いの底は天海と同じ「なぜ日本ばかり」だったのだと。

初めは関東沈没や日本沈没に懐疑的であり、天海たちにとっては老害ともいうべき、憎たらしい壁だったと思いますが、政治家としての実力は日本沈没が揺るがない事実となった後に発揮されました。こういう老練な人物を若い人は嫌うけど、何かの時には必要なんですよね。そんな里城の老獪で嫌らしいところと、だからこそ大物を動かせる人脈や手練手管を持っている実力を、石橋さんは実に巧みに演じ切ったのではないでしょうか。まさに政治家という感じが本当によく出ていたと思います。素晴らしかったです。

嫌な役をお手本かというくらいうまく演じて、考え方の違いくらいは認めてもいいかなと思ったところでのハットとコートを着こなした出国シーンはカッコいいと思ってしまった。魅せるってこういうことを体現されてる方です。

田所が怪しいとか言っておいて自分も自分の利益しか見てないとか、ずっと否定ばかりで嫌なキャラだなと思ってたけど、田所一人の意見をみんなが鵜呑みにするのを否定する人が一人もいなかったらそれはそれで不自然。凄くうまく嫌な役を演じていると思いました。