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湊人に言われたように想の中の紬ちゃんは高校生で止まっている。だからこそ自分の失くしたものの大きさやその時の悔しい気持ちが蘇ってしまうのかもしれない。でもそれは紬ちゃんのせいではないと分かっているからこそのジレンマなんですよね。それをうまく表現していたと思います。憂いを帯びた表情が素敵でした。

湊人が好きだってバラしていた紬ちゃんのポニーテールを嬉しそうに手に取ってからかっていたのがとてもかわいらしく、紬ちゃんへの想いが詰まっていて微笑ましかった。でもそこから感じる耳が聞こえないことへの悲しみで顔が曇ったのが印象的。まだ癒えない葛藤している部分を見たような気がしました。

足が遠のいていた実家に自分から帰って、母親とポツポツだけど少しずつ打ち解けて最後にはハニカムような笑顔を見せた。病気のこともあったけど、思春期を抜けた穏やかな笑顔に母もホッとしただろう。おしゃべりな姉と妹に挟まれた大人しい長男。二人に混ざってわちゃわちゃしている場面はとても仲が良さそうで良かったです。

耳が聞こえなくなることを言い出そうとするのに言い出せず、ごめんねばかりいう想。そのごめんねにはいろんな意味が詰まっていてそれが分かって泣きそうになった。8年経って紬ちゃんと当時の話をしながら紬ちゃんにつられて泣く想くん、優しい笑顔と涙にまたもらい泣きした。

紬との会話の中では気持ちが伝わりきれず少しもどかしい感じが見られます。手話でも足りない心から出せない気持ちのようなものがつっかえている。奈々との会話ではもっとスムーズでおしゃべりになる。2人への接し方が違っていて言葉がなくても気持ちがよく出ていると思う。

高校時代の想は紬ちゃんが追いかけたくなるのが分かる王道のイケメン、ただ今回はそれだけでは終わらない。聞こえた世界と聞こえない世界の中でいろんな葛藤を抱え過去を丸ごと捨てた男。そうでもしなければおかしくなりそうだったのだろう。大好きだった紬ちゃんとの再会で爆発した気持ちに胸を打たれた。

紬との再会シーンがとても良かった。話していることが紬に伝わらないもどかしさや苛立ち、封印してきた紬への想いなど色んな感情が入り混じった辛く切ない表情と、情感豊かな手話が印象的でした。爽やかなイケメンで高校生姿に違和感がないし、背が高めな川口さんと並んでもしっかり身長差があるところも良かったです。

耳が聞こえないのに、うるさいと告げてしまう、そこには苛立ちと切なさがこめられていましたが、うるさいと感じているのは心の問題であり、耳が聞こえないせいではないということも示されています。だからこそきっと心は通じ合えるという希望も込められているわけです。目黒さんは苦しみの中にも優しさが感じられる芝居を見せてくれているし、そこにもきっと理解し合える希望をほのかに感じさせます。結末はわかりませんが、そんな表情がこのドラマの支えになっているのかなと感じます。

奈々との出会いのシーンがとても良かったです。最初強張っていた表情が、話を聞いてもらううちに徐々に解れて穏やかになっていく様子が自然で、奈々との出会いは想にとって本当に救いでターニングポイントだったんだろうなと感じられました。紬といる時は正直いつも微笑んでいるだけで何考えてるかイマイチ分かりにくいけど、奈々と一緒の時は喜怒哀楽がはっきり顔にも手話にも表れていて生き生きして見え、8年離れていた紬との距離感、奈々と過ごした密度の濃い3年の差が感じられるところも良かったです。

紬ちゃんに会うたび多分湊人くんに申し訳ない気持ちがあったのだろう。2人が気まずい想いをしていないだろうか、湊人が怒っていないだろうかと思って聞いてみたけれど、紬ちゃんと湊人くんの絆は思ったよりも強くて自分への気持ちがないことにホッとしているようで寂しいような悲しいような表情を浮かべた。その情けない笑顔が抱きしめたくなるような切なさを持っていた。

後半どんどんつまらなくなり、最終回学校のシーンがただ長いだけに思えた。