となりのチカラ

チカラくんのお節介はあの時救えなかったお父さんの影響が大きいのだと理解できました。病死のお母さんもかわいそうだったけれど、自死のお父さんへの後悔は何年経っても消えるものではないでしょう。どうして？の問いに答えも出ないし、あの時子供だった自分への力の無さも痛感している。だから自分には分からないことは聞きたくなるし、自分が何かすることでいい方に変わるのであればしてあげたいんだと思います。人を救っているようで自分を救っているのかもしれないなと思いはじめてチカラくんを理解できました。

結局、親切とお節介の差は受け取り手の問題。何よりも大人であれ、誰であれ、状況に合わせて成長していかなければならないということなのでしょう。それが人と人のつながりというよりも、社会生活というものなのだと思います。チカラの父親に対する感情はわからなくもありません。個人的に似たような感情を抱いているので。認められないし、わだかまりは消えないけど許す。きっとそれは失った者が相手だからこそ生じるものだという気がします。

託也くんとおばあちゃんの件はこれがベストかなと思います。どうしたって自分の命の恩人のようなおばあちゃんを自分の手から離すなんて決断は託也くんには酷だからね。チカラさんがはっきりと施設に預けようと断言したのが良かったね。赤の他人が言った方がいいってこともある。最悪チカラさんのせいにもできるしね。エスケープゴートは必要だよ。
ただあかりちゃんへの答えは冷静に考えるとそれでいいの？ってところもある。娘の友達問題はご縁の問題でもあるからいいとしても息子の勉強はそれでいいとは言えないと思うけどなー。

あかりちゃん今までよく頑張ってきたね。チカラくんも働いているとはいえ、仕事しながら向かいのカフェでマンションの住人のことを監視できちゃうくらい時間あるんだからもっと家事を負担してもらってもいいんじゃない？疲れて帰ってきても先に家にいる旦那は頭抱えて他人の問題で頭いっぱいだし家のことはしてないしイライラするの当たり前じゃん。他人より家族が優先なのは当たり前。一緒に家庭を運営してるって気持ちがチカラくんにはないんだな。あかりちゃんが必死に漕いでる船に乗って周りの観光客がトラブらないように見てるって役。捨てられても文句はないよ。

あんな男、別れちゃえばいいじゃない！って言うのは簡単。だけど実家がなかったり、職がなかったりする場合、そして旦那にお前はダメだと言われ続けたりすると外に出る勇気がなかなか持てなくなってしまうのは分かる。明日から住む家もなく子供と2人飛び出すなんて無謀だ。でも近所の一般的な人たちの集まりからするとあれが限界なのかなとも思う。その解決策にモヤモヤするけれど、それで問題提起するのが狙いなのかもしれないね。

今回の肝はなんと言っても上条くんの演技でしたね。素晴らしかった。あの泣き笑いに全てを許してしまったけど、やっちゃいけないことオンパレードで怖すぎた。まず人のゴミは漁っちゃダメ。管理人さんってそういうの許可されてるの？そして真実かどうか分からない段階で怒りに任せて会社やSNSに個人情報を流すことはやっちゃダメ。特にSNSは2度と消えないんだからどうやって責任を取るつもりなのか。短所もあって人だけど、なんでも許されるのは違うと思う。

こうも共感性羞恥が起きてしまうドラマは一定数の人間には見ていて辛くなるのではないだろうか、チカラくんの余計なお節介にドキドキしてうまくいくかいかないか分からないレベルの作戦で挑んでいくところにこちらが疲れてしまうのだ。少なくとも私には苦痛で、ながら見しかできない。あかりちゃんが言っていたように親子だからって仲良くしなくてもいいのに。でもそのあかりちゃんも最終的には助けたりするから手に負えない。やっぱり観るのやめようかな。

松潤が演技だろうとなかろうと気持ち悪い。設定のせいかもしれないけれど、覗いたりもじもじしたりで、見ている方もジレンマを抱えてイライラして2話目でとても見れたものじゃなくなって見るのをやめてしまった。ここまで不快なドラマも中々ない、、、。

いろんな家庭の形を見せることで世相を斬っているんだろう、問題提起としてはいいと思うけどドラマとしてはどうだろう。これを見てもっと周りに目を配ろう？見て見ぬふりはいけないけれど、下手をすれば簡単に殺されちゃう世の中で簡単に人を助けなさいとは子供に言えないよ。技能実習生の話はどこでもあって男女ともに劣悪な環境に置かれている人もいるんだよね。どうしてこんな世の中にした！って思うのならば末端のことだけじゃなくもっと大元に斬り込んでほしい。

今回のヤングケアラーの話はやっとチカラさんの出番となって役に立てたかなとは思う。だけど心配だからって施設のパンフレットを渡したりするのはお節介だな。相手を嫌な気持ちにさせないかヒヤヒヤする。他人の家庭の事情に踏み込むって、相手の許容する力も多く求められるからね。お願いって言える力もいるし、相手の提案を受け入れる力も必要なんだ。今の世の中はその踏み込む力も踏み入れさせる力も欠如しているから難しいんだろうなと思った。

何を描きたいドラマなのか、現時点ではさっぱりわからない。隣の女の子が虐待されていると知っても、結局救い出すことはできなかったってこと？まあ女の子のほうは、気づいてもらえて感謝してたみたいだけど、なんとも中途半端という印象。それに、２人の子供の父親にしては本人も３番目の子供みたいに幼稚で、なんだか気持ち悪いわ。