家庭教師のトラコ

結婚式当日に結婚を取り消させるのに誰も傷つけない方法なんてある訳がない。自分の心の内をさらけ出して誠意を見せたって、集まった親戚一同の前で屈辱を与えることには変わりない。そこまでしておきながら、結局結婚しなかったのは何なのだろう。いろいろと取り戻す時間が必要なのだろうか。それにしても貯金箱を差し出したちびっ子たちの家庭教師になる志は素晴らしいと思う。だけれど、どうやって生活するのだろう。子どもたちの用意した貯金箱のお金で１年も生活できると思えないし、夢はあるけれど現実味がないかな。

母の死でワンワン泣いてすっかり毒が抜けた寅子。めっちゃ普通に、というかすごく行儀正しいいい子になっていてびっくり。そして全員合格が寅子の売りだったはずなのに守が落ちても誰も文句を言わないのはなぜ？守の実力って言うのもそうだけど、寅子に懐柔されすぎでしょ。その仕事の部分は合格させて完結でも良かったと思う。３人の母親と昔から大好きだったふくたを手に入れてハッピーエンドは良かったかな。でももう寅子から世の中への不満は出てこない。自分が満たされてしまったら出てこないってところが薄っぺらさを感じた。

今回は前回と違い寅子が智代の悩みに寄り添っているように見えて良かった。こんな店やめてしまえ！と言われてカッとしてジリ貧の店を続けたり、シングルで育てる子供がいるのに生命保険に入っていなかったりと無鉄砲な智代の方にイライラした。200万にも満たない貯金で私立中学に受験させようと思っていたところが怖い。死んで残すお金もなければ、癌を治す治療費だってないんじゃない？なにかって言えば運が悪いと僻む。自分の身の振り方も考えられない人が子供なんて育てない方がいい。裕福な家に里子に出した方がお互いのためじゃないかな。

壊れてもいいと思いながら根幹からその家庭を揺るがしていく寅子が怖い。揺さぶって揺さぶって今まで知らず知らずについてしまった感情の垢みたいのを取り去ると出てくる純粋な家族への想いを出しているのだろうけど、大きなお世話って部分もなくはない。頼んだのは子供の勉強を見てもらうことであって家庭の問題を解決してほしいわけじゃないから。寅子にはいちいち頭にくることも世の中にはよくあること。頼んでないのに上から目線なところが嫌だ。

またお金の話かあ…確かにお金がないと生きていけないが、それは手段であって目的ではない。ガンの告知を受けたら動揺するのも分かるし、ましてや頼る人がいなければ息子の行く末が心配でたまらなくなるのもわかる。しかし、火災保険目当てで火をつけてどうにかしようと追い込まれるのはおかしい。それだけ冷静ではなくなるということなのだろうけれど。残される息子は犯罪者の子どもになってしまうし、本当に行く末を案じていたらできないことだろう。次は金持ち一家。トラコの目的は何なのか。

寅子と福田さんが施設育ちであることが分かってきました。だけど、寅子の目的はまだ分からないまま。今回は5000円の使い道。自分に降りかかった困難は自分で解決できるようになってほしいっていうのはほんと。だけどカツアゲは犯罪でしょ。しかも同じクラスで逃げる場所がなくて、脅しも強力。となると子供同士で何とかしなさいって場合じゃないんじゃない？それなのに聞いてもそれほど驚かない母親ってズレてない？まだまだ日本って子供のすることに目を瞑りがちなんだなとがっかり。死ぬほど追い詰められることだってあるのに、それじゃいじめだってなくなるわけないよ。
あと離婚した親が揃って子供にどちらと暮らす？って聞くのはやめてほしい。そんな環境にしてしまったことを微塵にも悪いと思ってないめでたい両親。吐き気がする。

前回に引き続きお金の使い方から周囲の問題を解決した。あんな風にちゃんとお金を取り戻すことができることはなかなかできないとは思うけれど、いったん取り戻せたら相手はもう絡んでは来ないだろうし、ある意味根本的に解決できたとは思う。両親が子どもを取り合う姿は醜いし、子どもは本当につらくてたまらないと思う。友達からのいじめもつらいだろうけれど、両親のあの状態はある意味虐待だと思う。次はお金持ちのところかな。親のプライドに付き合わされる子どもはやってられないけれど、どう折り合いつけるのだろうか。

誰もが平等に教育を！！ってトラコとスタポニーキャンパスの理念がまさかの一致！！おんなじことを目指しているのにドラマによってこうもテイストが変わるんだね。すごく面白い。トラコは盛んにお金の使い道の話をしていたけどさ、国の予算はともかくとして人それぞれ優先順位が違うんだから使い道もどれが正解とかないと思う。トラコの中の情熱は素晴らしいけど自分に向けられた理不尽を当てもなく誰かにぶつけているだけのような気がする。そしてフクタの官僚生活だけどさ、あれはバカにしすぎでしょ。脚本家の自分だけが偉いみたいな考えが透けて見えて嫌だな。

このドラマ評価低そうだけど普通に面白いと思う。

やっぱり寅子はお母さんが恋しかったっていう展開か。それに近い経験をしたけど、私は会いたいと思わない。生き別れた親と感動の再会とかよくあるけど、勝手にいなくなった親にみんながみんな会いたいと思うなよ？って思う。どんな親でも恋しいと思うと思ってる？それこそが思い込みで思い上がりだ。世の中のお金を正しく使うっていうのも思い上がり。寅子の「正しい」が世の中の「正しい」とは限らない。お母さんが死んだことで寅子は過去から解放された。きっとこれからが寅子の本当の人生の始まりだね。

トラコに対して思っていたことを３人の母たちがハッキリ言ってくれてすっきりした。正しいお金の使い方ばっかり言っていたけれど人それぞれだし、それよりも気持ちの方が大事だと思うし。お母さんの死に目に間に合わなかったのは残念だけれど、大切な人たちができてトラコが真っすぐ歩けそうなのは良かったと思う。家庭教師になりたての頃にも接点があった３人だけれど、まさか幼少期にまで接点があったとは驚いた。どれだけ狭い範囲で行動していたのだろうと思った。

里美が思いの外お人好しすぎて違和感があった。銀座のクラブのママをやっていて妻子持ちの元は愛人をやっていたんだよね？婚外子までもうけて妻が死ぬまで日陰の存在だったんだよね？子供たちが意地悪に見えたけどほんとにそうだろうか？自分のお母さんが死んだら、急にあなた方の弟ですと言って血の半分繋がった弟と一緒に家に入り母親づらする人に愛情なんて湧くわけがない。ゲスいことを自分がやってきたのに純粋に愛し愛されたいなんて虫が良すぎる。自分がしたことが返ってきただけのような気がした。

お金持ちのボンボン君も自分の置かれている立場がとても恵まれていることと、お母さんを笑わせ喜ばせることが好きだったことを思い出し理解して、勉強にまい進することを決意しました。結局３家族ともお金に絡んだ話でしたが、正しい使い方って大人になっても難しいですね。福田さんが、今回は子どもたちを手懐けるのが早いということを言っていました。トラコには別の目的がありそうなことも。二人は施設育ちのようですし、なにか生い立ちと関係あることが目的なのでしょうか。子どもの次は母親とも言っていたし、次は何をする気でしょうか。

またまた遊川ワールド炸裂って感じですね。なかなか強烈でした。6歳の女の子に考えさせるのはいいけれど大分刺激的なやり方でヒヤヒヤしました。一万円で幸せになるなんてそりゃ買えるおもちゃ全部買うよね。寅子からお金を与えといて次はあげないとか、次は競馬で増やすとか結局家族を振り回して女の子の思考を丸ごと変えるようなことしてたどり着いた先は無理しないで目の前の家族の幸せを大事にする的な？？荒療治すぎるわ。振り回して振り回して自分の思想に染めるやり方は危ないと思う。

福多の告白は逆効果だっただろうな。元々他者を信じられないし妬んでいる風でもあったから、裏切られて余計に孤独感増しただろうと思う。それにしても頭取を脅迫してお金を取ることが目的だったとは驚いた。様々な職種の一覧が前に出ていたような気がしたので、てっきり各方面に伝手を作って大きなことを成そうとしているのだと思ったのだが。正しいお金の使い方と言いながら、お金は正しく使えたとしても正しい行いからは程遠い。あんなに小さな子どもの心を傷つけて、ドラマなのに辛いな。

殺伐とした家庭に育った守だからこそ人を笑顔にさせたいとお笑い芸人になりたい夢ができたのだろう。目の前の勉強からも逃げたい気持ちも重なって本人もその動機を忘れてしまっていた。寅子先生のおかげで守もその動機を思い出せたし、自分の恵まれた育ちに感謝できるようになってよかった。母親と見栄のためでもなんてもなく純粋に我が子を愛する母親に戻れてよかった。だけど寅子の狙いはまだあるようで不穏な動きは続く。一見丸く収まったように見えたのにまた崩すのか？気になるな。

結局寅子は普通の家族に憧れて親からの愛情を知ることなく育った自分の過去への、「こんなはずじゃなかったや、なんで自分だけが？」という怨念が渦巻いている状態ってことだよね。そしていろんな家庭に入り込んで魔法使いにでもなったような気になって大金を動かしている。「先生と呼ぶな！」って騒いでいたけれど、先生になる資格なんてないでしょ。大きな恨みの渦に飲み込まれて溺れそうなのは寅子の方。3組の親子がどうしてそこまで必死になるのか分からない。

なんだかいろいろ危うい感じになってきた。子どもとの相性を考えていろいろコスプレも用いたりするのもわかるのだけれど、両親の感情まで揺さぶって家庭の問題まで首を突っ込んでやりすぎだと思う。たしかに、ある程度家庭環境が整わないと子どもの受験に身が入らないのはわかるが、そういう部分から逸脱していると感じる。お金の話が多いのも何なんだろう。トラコが大金を使ったみたいだけれど、その使い道も「いつものように」というのが気になる。どこへ行こうとしているのだろう。

型破りなトラコ先生は勉強を教えるというより生き方を教えているのだろうか。親の面接でも本気度を見ている感じもするし。値段は教えてもらう側が決めるからといって、値段分しか教えないというわけではなさそうなところも面白い。トラコの夢？を叶えてあげたいだとか、本当の目的を知ったらとかいうセリフが福田から出ていたが、職業リストを順番に消していたところをみると、あらゆる世界に伝手を作るということなのだろうか？それとももっと大きな野望なのだろうか。あの先生と関わることで家庭そのものの在り方が変わりそう。

里美は元々ホステスだったみたいだし、後妻になれただけで満足で、いろいろなことを見ないようにしていたのだろう。現実を見たら、昔の自分のような立ち位置の人がいたり、嫌な部分が見えた。人の根本的な部分は変わらないだろうし、何かを評価する時の軸の部分も変わらないのだろう。価値をわかりやすいお金に求めるのも自然なことだし。それにしてもストラディバリウス３０００万は無理だろうし、色つや明らかに偽物だと思ったのだけれど。もう少し顔の似たの用意できなかったのかな。