モンテ・クリスト伯 －華麗なる復讐－

ドラマ「アイシテル」の頃からその演技力に注目していましたが、このドラマでは留美が出てくる場面でいつも泣かされました。本当に素晴らしかった。

初めて登場した時には、もの静かな感じの役どころですが、物語の本筋であるモンテ・クリスト伯が復讐を達成する過程で、深く暗い過去がどんどんと出はじめ、快楽に身を任せたり、喜びではじける様子であったり、感情の起伏が非常に多い役どころで難しい役であったと思います。長年役者をされていますが、特段あまりこの女優さんのことを演技がうまいと思った事はありませんでしたが、今回の芝居は、狂気を感じさせられたり、本当に嬉しそうな様子に見えたり、母性の強さを感じることが出来、今回のキャストの中では２番目に素晴らしかったと思いました。ちなみに１番は高橋克典さんです。

初めは脇役の中の１人という感じでしたが、展開が進むにつれすごくなくてはならない存在になっていた様に思います。少し狂っているような一面と、穏やかな母親の表情と、セクシーな大人の女性を見事なまでに表現されていて、圧巻でした。

ドラマ終盤にかけてどんどん強い女になっていく演技が良かったです。顔面に醜い傷を負っても堂々としている姿に凄みを感じました。女性としての美しさと母の強さをちゃんと演じていて、最後は息子をしっかり守りったところもかっこよかったです。

愛に飢えて愛を乞いながら心が壊れている女性をうまく演じていたと思う。自分が求めている者に対して盲目的に猪突猛進していく過程での異様さ、儚げでか弱そうに見えていた女性が「これ以上何も失うものはない」「何も怖くない」と開き直って正面から立ち向かっていく度胸、ふてぶてしさ、狡猾さ、そして真に守る者ができてからは狂気と共に乾いた心が愛で溢れていくさまを眼光で演じ分けていたように思う。稲森さんは声音が細く声量も大きくないので声で演じ分けるのは無理がある分、眼力と体の動きで表現できていた感じ。特に第6話と第9話の演技が良かった。ただ余談だが今回のドラマではちょっと顔の輪郭の崩れ（何かを注入しすぎたような）が気になった。

スゴかったです。全身から「母の強さと愛」というオーラが出ていました。途中までは、弱々しくて情けない女性として演じられていたので、安堂が自分の子どもだと分かってからの印象のギャップに驚きました。何があっても母親として子どもの味方でいるんだという覚悟が、表情やセリフの端々からしっかり伝わってきました。稲森いずみさんだから出来た演技だったんだと思います。感動しました。

最初は仮面夫婦の妻、最後は鬼気迫る母親を見事に演じ切ったと思います。特に後半の愛人が死んだはずの息子と分かってからの猟奇的とも言える演技は凄かった。新海家に盗みに入った時の息子を助けるシーンは圧巻でした。

人工的というのか、血の通っていないような彼女（稲森さん）のイメージが、この表情や感情の起伏に乏しい役柄にピッタリですね。特に前回、暴力を受けてたくさんアザができた顔で平然と笑い、夫に話しかけてるシーンは冷血な感じが如何なく表現されていて、壊れていることを隠そうともしない感じもとても良かったです。

最初は本当に気持ち悪い役柄だなぁと思っていたけど、安堂が自分の息子だと知って、母としての強さが覚醒してからの彼女は、堂々として凛としていてかっこよくすら見えた。深海に「母は強し」と言わせただけのことはあると思える程、強い女性に変貌した姿は見事だった。