五十嵐夫妻は偽装他人

こういういらんこと言っちゃう人っているんだよね。でもその後の繕い方でいい人が意地悪な人か違いが出る。この人は明らかに前者で突っ込みたくなる面白さがあり笑ってしまうかわいらしさをもっている。いい人なんだろうなー。

真尋に直人の海外赴任話をしてしまった時の慌てっぷりと、わざとらしい誤魔化し方が、嘘が下手で人の良い竹橋部長らしかったです。話を断ってきた直人に、「本当に良いのか？」「後悔だけはしないように」って食い下がって期限まで返事を待ってあげる姿も、夢である海外勤務を叶えるために転職してきた直人の思いを尊重して慮る部長の優しさが伝わってきて良かったです。

仕事の一環の旅行なのに、すっかり修学旅行の引率の先生みたいになってるのが面白かったです。夫婦について語っていたのにいつの間にか惚気になってるのも、ギター片手にご機嫌な姿も可愛らしくてほっこり。絶対このあと修羅場来るよなあって身構えていたけど、部長の愛嬌ある姿が良い感じに肩の力を抜いてくれて良かったです。

皆に温泉旅行の話をするシーン、行く前からテンション高めで楽しそうな姿が可愛らしかったです。部長さん、ほのぼの温かい雰囲気で良いですよねえ。切なかったりイラッとしたりヒリヒリしたり、なかなか晴れやかな気持ちになれない展開が続くけど、部長さんの明るさやチャーミングさが良い感じに中和してくれて、良いアクセントになっていると思います。

林に五十嵐夫妻のことがバレた時の慌てっぷりが面白かったです。「絶対バレちゃいけない」って一人で必死に秘密を守ってきたんだなろうなあって部長の真面目さと人の良さが伝わってきました。林の分かりやすいカマかけに簡単に引っかかるチョロさだったり、気が緩んだのか「別居中」とかプライバシーに関わることも喋っちゃう脇の甘さだったり、ちょいちょいツッコミどころというか、人間味が溢れちゃうところも愛嬌があって良かったです。

直人と真尋の会話を心配そうにソワソワ見ていたり、二人のやりとりを耳にして真尋に歩み寄りたい直人の気持ちをちゃんと察してお膳立てしたり、短いシーンだったけど竹橋の優しさや面倒見の良さがしっかり伝わる演技が良かったです。「先輩の心遣い、無駄にするなよ～」「よろしくね～」という軽やかな去り方も含め、終始恩着せがましさ、押しつけがましさを感じさせないところも良かったと思います。

直人と真尋への質問タイムにハラハラして気が気じゃない姿が面白かったです。会話に割って入ったり、早々にお開きにしようとしたり、当事者の五十嵐夫妻よりも必死になって秘密を隠そうと頑張る姿も竹橋の人柄の良さを感じさせて良かったです。

五十嵐夫妻の秘密がバレないよう必死な姿が胃が痛そうで気の毒なんだけど、その一生懸命さがチャーミングでとても良かったです。癖の強い、どちらかというと主人公側と敵対する役が多い俳優さんというイメージがあったのですが、こういう温和でコミカルな役も似合うんですね。部長頑張れ！って応援したくなる魅力的なキャラクターを作り上げていると思います。