ラジエーションハウスII～放射線科の診断レポート～

どんな相手だって患者さんなら真摯に向き合う。病名がわかって治療していきましょうと寄り添う姿は理想のお医者さんに見えました。プライベートな部分はたどたどしいから余計技師として真面目な部分が活きていると思いました。

原因不明の体調不良が続いて不安な時に、こんなに寄り添って真剣に自分の病気と向きってくれる人がいてくれたら心強いだろうなあ。相手が幼馴染でも敬語で丁寧に接し、他の患者さんへの対応と一切変わらないところも「どの患者さんも平等」という五十嵐らしくて良かったです。杏へのライクと取られ兼ねない微妙な告白も、恋愛面は不器用な五十嵐っぽかったし、変に男女の生々しさがないところも小学生の初恋の延長という感じがしてキャラクターに合っていると思いました。

何にも動じず淡々と仕事をこなし、芝居をしているというよりほんとにそこで働いているような動きを見せる窪田さん。いつも真剣なまなざしで患者さんのことを観察して、撮影器具も自然に使いこなしてる感じがいいですよね。

このシリーズはどちらかというと他のメンバーの逸話が中心で、群像劇のような展開なので、窪田さんの演技力が存分に発揮されるシーンは少ないのですが、他のキャストがかき回した後に締める、クローザーのような役割をしています。普段の寡黙さから一転して自己主張したり、急に集中しだして目つきが鋭くなったり、小さな変化ですが、場面の雰囲気を変える演技はさすがだなと思います。出番は減っても、やはり彼が主演であり、その演技力は改めて秀逸だなと思わせてくれます。

杏が絡むとグダグダになっちゃうけど、仕事中は本当に頼もしくて、彼なら何とかしてくれるという絶対的な安心感があります。何かというと「五十嵐、何とかならないのか」と頼ってしまうのも納得。すごいリーダーシップがあるわけではなく、ただ黙々と自分の仕事に真っすぐ向き合っているだけなのに、自然と五十嵐を中心にチームがまとまっていて、それに違和感が全くないところもさすがだなと思います。赤ちゃんだけでなく、しずくの心まで救ってあげる姿も、患者一人一人と真摯に向き合う五十嵐らしさがあって良かったです。

杏ちゃん関連で動揺した時の固まり方や目の泳ぎっぷりが素晴らしくて、とってもツボです。仕事モードの時はとってもできるヤツなんですけれどね。あのギャップが笑える。お父さんへの告白の叫びは最高でした！

前シリーズより大人になった設定なのか、前よりあんちゃんあんちゃんって言わなくなって良かった。なんかニヤけてる感じが嫌だったんだよね。好きなのは伝わってるし、あの橋の上でのやり取りで十分。今はいい感じになっていて好きです。

純粋で真っすぐで。それが周りの人に対して曇らない目で見ているし、信頼もしていることにつながっている。技師長がコスト削減言い出した時にも何かあったと疑っていましたし。それにしても、甘春先生への思いまで純粋すぎて、小橋？の上ですれ違う時のぎこちなさには「小学生か！」と突っ込んでしまいました。

「杏ちゃんと温泉！」と浮かれて喜んだりはするけど、彼女とどうにかなりたいとか付き合いたいとか、生々しさが感じられないところが小学生の初恋の延長という感じがあって良いですね。成人した良い大人だけど、杏を前にすると目が泳いだり口ごもったり、恋愛面に疎そうな雰囲気を違和感なく自然に醸し出しているところも上手いです。仕事中の患者一人一人と真摯に向き合う頼もしい姿とのギャップも魅力だと思います。

仕事中の真剣な眼差しや迷いのないはっきりとした口調と、オフでの「杏ちゃ～ん」というちょっと情けなくてオドオドした姿のギャップが前シリーズと変わっていなくて、何年経っても恋愛面は小学生男子みたいにピュアなところが五十嵐らしくて良かったです。画像に見入っている時の周りの声が届いていない様子や、院長に牽制された時のきょとんとした顔など、良くも悪くも空気が読めなくて自分の行動が周りの技師とは違うという自覚がなさげなちょっと紙一重なところも、五十嵐の天才ぶりを思わせて良いと思います。

挙動不審でよわよわな感じ、はっきり話せてない喋り方とキョロキョロする目線など少し見ただけで、あ、五十嵐が戻ってきたと感じられました。
さらに画像を見てるときはキリッとしてるオンオフがいいなと思いました。

シーズン2ということもあり、抜群のキャラ作りと安定感です。コミュニケーション下手の五十嵐のおどおどした雰囲気や視線をそらす癖、しかしいざ仕事となると撮影画像から少しも目をそらさず、意見も行動も毅然としてぶれないところなど、その二面性のコントラストを、思い込みの激しさ＝没入感という似た感情表現に落とし込むことで自然に共存させ、このキャラらしさを存分に見せてくれています。それは窪田さんがただなんとなく演じているのではなく、しっかりとキャラらしい表現を考え、体現しているということであり、さすが演技派らしいなと思います。