119エマージェンシーコール

元気のない雪に根掘り葉掘り聞かず、明るくご飯を用意する姿が良かった。今クールのドラマで強烈な毒親を何人も目にしてきたので、娘を信頼してるからこその程よい距離感と気遣いにホッとする。ほんの数秒のシーンだったけど、雪を呼ぶ声と彼女を見つめる眼差しに大きくて温かい愛情が感じられるところも良かったと思います。

小夏が火事以降火事があったなんてことは誰も言わなかったしってセリフがあったけど、いつも娘たちへの声がけが明るくて優しさに溢れているのを知っているからそのエピソードも説得力があった。娘がそのことで胸を痛めていると知ったら、自分がその罪を丸ごと背負うような物言いも素敵だなと思った。

小夏の告白を聞いているシーン、「気付けなくてごめんね」と泣きながら謝る時の表情が小夏以上に辛そうで苦しそうで、ずっと一人で抱えてきた小夏を思う母の深い愛が伝わってきました。お父さんのせいってことでサクッと明るくまとめて、一瞬で重たい空気を軽くしちゃうところもさすがお母さんって感じで良かったです。

小夏の失声症は自分のせいだと気にする雪に「とりあえず食べよ」と明るく声をかけたり、小夏の個展を教えてあげたり、「雪のことを嫌うわけない」と自信たっぷりに言い切ったり、短いやりとりの中でも娘たちへの深い愛情と信頼が伝わってくる演技がとても良かったです。

仕事があるから帰るという小夏のためにタッパーに料理を詰めて持たせたり、久々に会えて聞きたいこと、話したいことがいっぱいあったろうに余計なことは口にせず「ちゃんと食べてね」と身体のことだけ気遣ったり、短いシーンだったけど母の愛と思いやりが沢山感じられたのが良かったです。

小夏のイラストが載った冊子を嬉しそうに雪たちに見せるシーン、嬉しさと安堵、ほんの少し寂しさが入り混じったような表情が印象的で、小夏の存在が感じられた喜びだけでなく、でもやっぱり顔が見たい、会いたいっていう親心が感じられたのが良かったです。実家に帰って来たような、どこかホッと安心出来る温かさを感じさせる雰囲気も素敵だなと思います。

明るくてチャーミングで、小夏のことも心配しつつ「便りが無いのは元気な証拠」と前向きに捉えていて、この大らかさが雪のお母さんだなあって説得力を感じさせました。雪との電話中、横から雪に声をかける銀に向ける笑顔も優しくて、温かく仲の良い家族なんだなあって伝わってきたのも良かったです。