ダイイング・アイ

温厚そうな顔つきですが、色っぽいママの役が意外にもよく似合っていました。いつも仕事で着ている肩や腕を出した服も素敵で、こんなママがいたらお店に何度も通ってしまいそうな感じが良かったです。時折見せる裏の顔もドキッとしました。

由佳と江島の別れ話を取り持つシーンでの、世話焼きおばさんっぽい口調やわざとらしい作り笑顔が、いかにも親身になってあげているという素振りっぽくて上手かったです。きっとこうやって本音と建前を上手く使い分けてこの世界で生きてきたんだろうなとママのしたたかさな性格が感じられました。

慎介との電話シーンで、彼が成美の名前を出した途端サッと表情が変わったのが印象的でした。４話ではあの夜、成美がどうなったかという描写はありませんでしたが、ママのあの表情で彼女の身に起きたことが容易に想像出来ました。真顔で目線も遠く、感情が全然感じられないところも怖かったです。

成美に「大丈夫よ」と猫なで声で手を差し出す姿がめちゃくちゃ怖かったです。笑顔だけど目が全然笑っていないし、堀内さんの独特の甘い声と成美の緊迫した逃亡シーンのミスマッチさが視聴者を不安にさせ、より恐怖を際立たせる効果があったと思います。成美を見る目がまるで物を見ているようで、彼女への情なんて一切ないんだなと感じさせるところも良かったです。

成美と電話しているシーンで、電話中は心配そうな顔や親身な口調なのに電話を切った瞬間サッと冷めた表情に切り替わる姿が良かったです。台詞にはなくても千都子の裏の顔が垣間見れてゾッとしました。あんなに優しい笑顔で接していて成美を可愛がっているようだったのに、その二面性が怖すぎます。また無理な若づくりをしていないのにいつまでも綺麗で、どこかコケティッシュで不思議な色気があるところも魅力だなと思います。