クジャクのダンス、誰が見た？

久しぶりに成田さんの芝居を見ましたが見事でした。

この役柄のポイントは同じく死刑囚として服役している父親との対比です。父親は完全に諦めていますが、友哉の方はそうじゃない。絶望しながらも熾火のように、心の中には怒りや憎悪や嘲りなどの熱がくすぶっている。

だから神井を信じていたし、松風と向かい合った。そこをうまく短い出番で表現していたと思います。

最後に親子共に開放された時の表情も本当に良かった。いい芝居だったと思います。

その目に車で帰ってくるお父さんの姿が見えているのに自分から駆け寄るわけでもなくじっと待っているところが子供っぽくて、お父さんと別れた当時に戻ったようでとても切なかった。再会のシーンは感極まって言葉が出てこないところにもらい泣きしてしまった。

感情が欠落したような光のない目が凄い。荒んでるっていうのも絶望してるっていうのもピンとこないし、サイコパスで片付けるのも違う気がするし、何とも言えない表情と佇まいもとても印象的でした。台詞はほぼなくて出番も少なかったけど、チラっと映っただけでも「ヤバそうな人」っていう雰囲気がしっかり伝わってくるところも良かったです。