やんごとなき一族

記憶を失った健太を今まで通り「健ちゃん」と温かく出迎える姿や、佐都と健太を取り持って話をする機会を作ってあげる気遣い、2人のやりとりを離れて聞いている時の何とも言えない切なそうな顔、少ない出番でも母・義母としての思いがしっかり伝わってくる演技が素晴らしかったです。見た目は小柄で細いのに、包容力に溢れていてどっしりと頼もしく感じられる雰囲気もとても良かったと思います。

健太に「佐都と別れてください」と頭を下げるシーン、辛く苦しそうだけど健太を真っすぐ見つめる眼差しと迷いのないきっぱりとした口調に「佐都を守る」という母の強さと覚悟が感じられました。健太が佐都を本当に大切に愛しているのがちゃんと分かってるからこそ、余計に辛かっただろうなって胸が苦しくなりました。出番は少なくても佐都への愛情がしっかり伝わってくる演技が素晴らしいです。

いつもどんな人にも優しく愛嬌があって温かいお母さんが、今回ばかりは吠えた！それだけで真剣さが伝わるし、サトへの強い愛情も感じた。こういう人の堪忍袋が切れてしまうと大変なんだよね。娘の幸せのために一歩引いたり、一歩出て守ったり。素敵なお母さんですね。

圭一と対峙するシーン、圭一の圧に負けない毅然とした態度と強い口調に娘を侮辱された激しい怒りが滲んでいて、電話で話していた「佐都のためだったら何だってする」という言葉に説得力を感じさせました。泣いてしまった佐都を「大丈夫」と抱きしめる姿も強くて頼もしくて、深く大きな母の愛を感じさせてグッときました。

いきなり着なれない着物を着てお茶会なんてドキドキして当たり前、動揺しながらもサトのために出席してくれたお母さんに感謝です。それにしても柔よく剛を制すとはこのことか。御作法もまるで知らないのにその場に順応していく様はこちらに勇気を与えてくれた。柔らかな笑顔がとてもよかった。サトの強さの源を見た気がした。

お茶会で恥をかかされても委縮せず、分からないことは素直に質問して自分で考えて行動する逞しさや機転が、深山家で奮闘する佐都の姿と重なり、さすが親子だなという説得力を感じさせました。聞えよがしに嫌味言ってる着飾った金持ちよりもよっぽど誇りと品格があって美しかった。お点前を披露する佐都を誇らしげに見守る優しい笑顔も、母の愛に溢れていて素敵でした。

自分のことよりも娘のこと、実家より婚家って昔のお母さんはこういう人が多かったなと懐かしく思いました。お母さんの愛情が湧き出る泉のような微笑みがあるからこそ、サトちゃんが心置きなく外で戦えるんだなと思います。

庶民の母というと、どうしても「花より男子」を思い出すけど、やっぱりこういう愛情深くて気さくな下町っぽい感じが似合う。佐都が結婚後もお店を続けると言った時の嬉しさと戸惑いが入り混じったような表情も、母親としての複雑な気持ちが伝わってきてとても良かったです。