いだてん～東京オリムピック噺～

大森の肖像画を描いている時の表情がとても良かったです。死期を悟っているような切なく辛そうな顔、治五郎に叱咤激励される大森を見つめる優しい笑顔、どの表情にも大森への深い愛情が込められていて、見ていて胸が熱くなりました。実際の大森ご夫妻もこんなふうに仲睦まじかったんだろうなと感じられるリアリティがあったのが良かったです。

「意気地なし」と四三を叱責する田島を「黙りなさい」と一喝する姿が格好良かったです。四三の頑張る姿をずっと近くで見守ってきた安仁子の愛情が伝わってきました。黙ってればお人形さんのように綺麗なのに、頼まれた写真とは関係ないものを撮ってきて子供みたいにおどけたり、裸の四三を見て目を覆ったり、たまに見せるお茶目な一面が可愛らしく、そのギャップが魅力だと思います。

治五郎にストックホルム行きを直訴する姿が印象的でした。いつも自分の考えをはっきり堂々と口にして強い女性というイメージがあるのですが、今回は強さだけでなく必死さや切迫した雰囲気もあり、大森への深い愛情と彼の病状の深刻さを窺わせました。列車内での新婚夫婦のようなラブラブっぷりも可愛らしかったです。

マナー講座でのスパルタ指導が良かったです。はっきりとした物言いだけど程良い片言日本語のおかげで言葉がマイルドに感じられて聞いていて嫌な気持ちにならないし、でも安仁子の気の強さはしっかり伝わってきて、永井たちに「生意気な女」と陰口を叩かれてしまう説得力がありました。

男性たちの中で紅一点でも背筋を伸ばして同じテーブルに着席し、臆することなく意見を述べて男性と堂々と対等に接する姿が格好良いです。でも「男性に負けない！」というガツガツした感じではなく、仕草や佇まいにエレガントさと女性らしい美しさがあるところが魅力的だなと思いました。

スラっとした長身と小さな顔にバッスルスタイルのドレスが映えてとても美しかったです。当時の日本人にはお人形さんのように見えただろうなと、「異国の特別な人」という雰囲気が漂っていました。兵蔵の英語をいちいち細かく訳すシーンもアニーの気の強さが感じられて良かったです。