ぬけまいる～女三人伊勢参り

最後は、三味線のお凛がおいしいところを全て持っていってしまったような感じではありましたが、猪鹿蝶と合わせて4人の、賭場の男たちに負けないパワーを感じて、とても面白かったです。
猪鹿蝶3人が全員、もとの江戸の生活に戻る道を選んだことは、少しもったいない気がしました。特にお以乃は、いちど長五郎改め清水の次郎長親分のところに寄ってくればいいのになぁと、でも3人が幸せそうに伊勢神宮に参拝しているのが、エンディングとしてはよかったです。

お志花には過去に両想いの男性がいたとは驚きで、父親の立場が良くなると考えて縁談を選んだというのがその時代らしいが、大体このような場合は男性の方が自分自身に優位になる縁談を選ぶように考えていたので面白い描き方に感じた。
アワビを食べた時に歯応えがある食感は想像できるが、歯応えを通り越して固すぎて歯が欠ける程とは可笑しく、反応の仕方も感情豊かで笑ってしまった。
お凛の独特の雰囲気が一般人ではないと感じていたが、賭場でツボ振りをする人間だったとは思っていなかったので驚いた。

江戸時代という設定なのに、生き生きした女性が制約された枠を飛び出して活躍しているのが楽しいです。在庫品でいいアイディアを出してお店を当てたり、チンピラを追い払ったのも、痛快でした。また、ゲスト出演の舘ひろしがいい味を出していました。時代劇は似合わない人かと思っていたのですが、しょぼくれていながらもモノや人を見る目を持っているおじさんが、はまり役でした。田中麗奈の色気のある演技も時代劇になじんでいて、面白かったです。

３人とも演技が下手な訳ではないと思うが、江戸っ子を気取ったセリフの言い方は白々しい感じがして、何故かしっくり来ないし、花札の猪鹿蝶と同じ名前の３人が旅に出るドタバタ劇は、少し期待外れです。前回騙されて一文無しになり、川を渡るお金もなくて困っている所に、すっと出て来る大地真央などは、さすが存在感があって、時代劇の身のこなしも板についているなぁと、その差が際立ってしまいます。悪者たちとの立ち回りも、指導は受けているのでしょうが、レベルが何だか学園祭の劇や喜劇を見ている様で、ガチャガチャしていて、喜劇なのか人情ものなのか、中途半端なドラマの印象です。

女三人が行きあたりばったりの無防備な旅をするという点では、なかなか面白いと思います。若干歴史的な観点からはおかしな点もあるかと思いますが、そのかわり展開が見られます。初回では 3人組が若い女性の一群に力で勝って悪知恵で負けて、素寒貧になるという展開で、初めから主役陣が負けをこむというのは意外で、楽しかったです。年増3人という設定なので、粋な男性は出てこないのかなと思いきや、最後の方で福士誠治演じる何者かの影があったので、今後の展開にも期待しています。

時代劇なんて最近見てなかったけれどお伊勢参りする女性の物語というので見てみました。それぞれ立場の違う、そして意見も都度合わない、でもずっと長い付き合いの幼馴染の3人。見ていて関係性が羨ましく思いました。途中、若い娘さんたちの集団に騙されるんですが、そのあと仕返しをして、またそのあと娘さんたちにしっぺ返しを受けるという、どんでん返しが見ているこちらも、「ああやられた」と苦笑いしてしまいました。3人の着ている着物も楽しみです。