祈りのカルテ 研修医の謎解き観察記録

最後は良太と父親の話になりましたね。一生会えることがないと思った息子、会えるだけでいいと思っていたのに最期を看取ってくれるなんてどんなに幸せだったことでしょう。それにしても今更あの事件は冤罪だっかもしれないなんて、どのツラ下げて刑事はやってきたのでしょう。自分の仕事を早く片付けたいために早合点して犯人を捕まえて、よく考えたら犯人じゃないかもしれない、自分が退職する前に片付けたいってことでしょ？全てが自分のためで呆れる。いい人ぶった顔が癪に触った。

いくらなんでも病院の検査技師が検査結果を患者に頼まれたわけでもなく独断で自分の思いだけで書き換えて大事な移植ができなくなるなんてやっていいはずがない。透析って毎回ほんとに体の負担が大きいし大変なのに、その苦痛から一刻も早く脱してあげたいと思うのが医療者であってほしい。こういうのをドラマであってもやってしまうと病院が嫌いな人にとっては信用を失くすことにならないかな？引き止めるなら違う方法にして欲しかったです。

広瀬はやっぱり良太先生のお父さんだったのですね。一緒に食卓を囲むシーンでは嬉しさが滲み出ていて良かったです。冴木先生と広瀬は旧知の中、良太くんのお母さんとは知り合いじゃないのかな？広瀬がどんな夫婦生活を送り今の状態になったのか知らないからなんとも言えないけれど、良太くんのお母さんなら広瀬に会ってほしいと思うだろうか？立派な成人だから口を出すことじゃないと分かっているけど、私が母親なら複雑です。死ぬ間際ならいいって話でもないと思う。

今回は救急でしたが、いろんな親子の物語が見れました。出来の悪い子ほどかわいいっていうことなのかユウヤを溺愛している冴木先生にほっこり。冷たい感じがしたのはみんなの前だからだったのですね。みどりのお母さんは心配です。でもそのお母さんのために医者になったなんていい娘だわ。そしてなにやら良太の実の父があの広瀬さんかも？？生活保護を受けながら生活する実父って‥会いたくないかも。ただヤクザかぶれの息子と30年ぶりの親子の対面には泣かされた。どんな息子でも忘れるわけはない。会わないことが親不孝だってことに気づいて親孝行してほしいな。

子供って親が思っているほど子供じゃなくて全部知った上で知らんぷりしてることもあるんだよね。お母さんにとっては憎い元旦那でも子供にとっては全然違う感情を持っていたりする。で、お母さんの理想とする新しいお父さんをお父さんと思いなさいって言ったってそれは無理な話よ。そこが分からないなんて離婚する資格はないと思った方がいい。子供の親は減らすんじゃなくて増やすって方に考え方が変わってほしい。お母さんとお父さんと新しいお父さんのそれぞれが子供に愛情をもって接すればもっと幸せになれる。そんな道が当たり前になりますように。

分かっていることだけど、医療は万能じゃない。万全の医療体制の中をすり抜けるように逝ってしまったえりさん。泣きじゃくる諏訪野先生も良かったし、人の死に慣れるなと今の気持ちを忘れるなと教えてくれた立石先生も素敵だった。病気の妹のために一生懸命働いた姉、十分に生きたなんて言っていたけどまだまだだったよね。最後は誰かの病気を治すための募金を集め、妹や知らない誰かのためにその身を捧げた。そんなに頑張らなくてもいいのにと涙が溢れた。お姉ちゃんはサチの体で生きている。お母さんと手を繋いだのは二人だよね。悲しいのに温かい最後だった。

親が子供に病気になるように仕掛けるって、このドラマだから一生懸命すぎた娘の目も覚めて穏やかに暮らしていくって結末になったけどバリバリサスペンスだよね。いくら口で言っても効かないとかそういう発端でしてしまったことだろうけど、自分の体質を知っていてわざと発作が起きるように何かを食べさせられるって怖いよ？自分のことを思ってとか思えるだろうか？そんな風に思う前にやってはいけない線を越えたように感じて私なら縁を切るかも。なんかおとぎ話を見ているようだった。

なんでも自分のせいにして悲嘆されるのは嫌だと思う。だけどせっかく授かった子供は二人の子供なんだから一緒に育てることに参加させてあげて欲しい。それにガンを患っているなら尚更パートナーの協力は必要不可欠だから、ガンも内緒にして離婚して子供は自分が育てるっていうのはちょっと考えにくい。闘病しながらの子育てはキツいし、もし自分が死んだらひとりぼっちになってしまう子供のことに考えが至らないのは親としてどうだろう。会ってみたいと思うのが子育てじゃない、成人するまで自分で働くようになるまで面倒を見るのが子育てだ。考えの甘さにイライラした。

今回の話はなんだか切なかったな。孫の進学費用のために保険金が下りないと困るからと開腹手術を望んだり手術が早まって喜んだりというのはドラマだから大げさってところもあるけれど、お金の問題はシビアだからね。おんなじ手術をするのに誕生日が来てからでは保険金が受け取れないなんてこともあるから早くやってくれって気持ちも分からなくはない。保険屋も払いたくないからいろいろ条件つけてくるしね。その結果癌だったことを喜ぶっていう変な構図になる。なんか笑えない考えさせられる話だった。

医療ドラマと謎解きねー。結構面白いかもと思って見てました。嘘はついていなくても話さないことで真実が分からなくなるってことはありますもんね。自殺未遂常連の彼女の本当の悩みにまで辿り着いてよかった。困っていてもどうしたらいいか考える力が残っていなかったり、そもそも助けてくれるところがあるなんて思っていなかったり、そういう人って結構いると思う。ただ自殺がいいとか悪いとかお説教するわけではなく、根本的な問題の解決に導けたのがとても良かった。

特定の科を舞台にした医療ドラマと違って、研修医として1話ごとに違う科を担当していく展開は興味深いかも。科によって患者さんの抱える問題や医師のアプローチも変わってくるだろうし、何より各科の指導医役のキャストが豪華で、それぞれどんな色を見せてくれるのかも楽しみです。謎解きに関しては、左利きのみどりを見て何か閃いた時点で何となく先が読めてしまったのでもうちょっと捻りが欲しかったです。