クジャクのダンス、誰が見た？

現実にいたら友だちにはなれないほど性格はひねくれているけど、遠藤親子を信じ続けられる強さは本物。真実に近づくために、あの手この手を使い、きれいごとじゃない部分をえぐり出すけど、実はこの神井という人物が一番きれいな心を持ち続けているとも言えます。人の嫌な部分を露骨に見せつけながらも、自分の手で調べたこと、その目で見たことを信じている感じです。

演じた磯村さんですが、本当に素晴らしい。この人物の嫌らしい面を前面に出しながら、真実の前で折れない強さを最後まで見せつけました。最後の遠藤親子とのシーンでシャイに微笑むのが印象的でした。このキャラがいなければここまで面白くなかったでしょう。

心麦には無遠慮で距離感ゼロで近づくところが嫌だったけど、神井の強烈な圧によりもっともっとと急かされて森の奥までたどり着いたような気がしました。明らかに物語を進めるキーマンであり、その役割を十分果たしたと思います。最後は友也親子のただの友達の顔に戻っていたのがとても良かったです。

すごいね、ほんの数分でここまで嫌われるように演じるってすごいと思う。距離の詰め方が異常でドキッとさせられてばっかりだ。心麦の茨の道を知っているかのような挑発がむかっとするけど、それに乗ったら思うツボなんだろうな。

一言で言えば食えない奴。相手を挑発しながら自分の聞きたいことを聞き出すために一瞬も目を離さない。そのしつこさにむかっとくるけど、それが狙いなのだろう。そんな時にやっとする顔がたまらなくいやらしいのよね。

ニヤついた顔や馴れ馴れしい口調、遺族の心麦に「実の娘じゃないですよね」といきなり不躾な質問をぶつける無神経さ、すべてが良い感じに気持ちが悪くて胡散臭くて、蛇のようにしつこそうな厄介さを漂わせているところが良かったです。短い出番でもインパクトと存在感をしっかり示すところもさすがです。