無能の鷹

最後の最後でファンタジーってどういうこと？まぁ会社の稼ぎ頭である営業部が解体ってもうその会社が終わることを意味してるからあり得ないけど、お別れ会に鷹野の幻が現れるのはやめてほしかったなー。そのほかは概ね共感。鶸田がみんなが次々動き出す中動けずにいるのも納得。怖がりで繊細、やっと安心できる椅子を手に入れたかと思ったらその椅子を取り上げられるんだからたまったもんじゃない。鷹野が次の会社で解雇されたのにしばらく通った話は面白かった。ギャグ漫画を見事に実写に着地させたのは菜々緒さんの功績だと思う。

雉谷さんが教える謝罪の極意がとても見事でこれさえ抑えておけば社会人として立派に生きていけるだろう。でも形ばかり囚われて何に謝っているのか本当に悪いと思っているのかという部分が抜けてしまうと鶸田のように途中からムカムカしてしまう。気持ちが1番大事ってことは忘れちゃいけないよね。そして怒りすぎる社長さん。自分が社内の雰囲気を悪くしてるって自覚しないのかね。昔は〇〇だったって言ったって今の人には関係ない。あんなに素直に方向転換できるならあんなふうにはなってないよなーとちょっと冷めた目で見てしまった。

サンキューポイントねー、そういう大っぴらにお礼を言おう！みたいな企画はうちの会社にもありました。サンキューカードなるものを書いて廊下に張り出されるやつ。あれって自分が書かれたらその人にもお礼しなきゃみたいな変な忖度ができて結果お礼の強要みたいになって息苦しくなるんですよね。ほんとお偉いさんが考えることってズレてるな。そしてコロナ禍からの出社しない奴。快適すぎて出社を渋る奴も出てきました。多様性を認めなきゃいけない社会も息苦しくて大変だよね。

あんな大人にはなりたくない！って息巻いていたのにどうしてそんな大人になっちゃうんだろうね。困った時は誰かに頼むことしか考えず頼りっぱなし、なのにやって当たり前で感謝はない。そんな上司に誰がついていくと思うのか。資料を離乳食とまで言われちゃー情けないったらないよね。ただね、ある程度自分が会社を大きくしたんだという自負と気力体力の衰えで動くのが億劫になっているのも事実。ここで目覚めた朱雀さんは偉いよ。まだ戻れる道を探せて良かった。

キャラの個性が強いからコメディ色が強いけれど、一人一人のキャラがしっかりと作られていてとても面白い。雉谷のような流れを読むのがとても上手な人も本当にいて、自分に悪い流れが来そうになるとうまくかわしていくんだよね。で、流れを読むことにばかり気を取られて大したスキルが身につかないのも本当。転職でもすっかなーと言いつつ冷静に自分のことを見て今のぬるま湯にズブズブハマっていくのもこのタイプかと。脚本家さんは会社員なんじゃないかってぐらい洞察力がすごくてハマっている。

自由だの革新的だのいう社長に限って自分が知ってる自由や革新的の範囲から出ることを無意識に抑えている傾向にある気がする。無礼講でと言いながらってやつと同じ匂いよね。鵜飼と鵙尾の同期対決はノートを真面目に取ることを基本とする鵜飼とそれがめんどくさいから違うことができないかと考える鵙尾がそのまま社会人になっていることが面白かった。お互い相容れないところを持ちながらも相手を許容し認めているところがすごく良かった。

デフォルメがひどいな。鷹野さんみたいな社員をあそこまで優しく扱ってくれる会社なんてあるのかな？釣りバカ日誌だって今見ればそんな会社あるのかよ？って思うけど時代が違うと容認もできる。ただこれは今だからね。ペン回し一つ止められない職場なんてないでしょ。共有フォルダを開けない人は大学なんて行ってない。もう少し現実味を見せないと見る人はついていけないと思う。それで鷹野さんがいるからの化学反応で仕事が上手くいくとかおとぎ話でしょ。

燃費すら読めない人がどうやって都心のオフィスで働くことができるのか、これこそが鷹野さん最大の魅力と不思議なのだろう。大学もどうやって入ってどうやって卒業したのか、鷹野さんの人生がめっちゃ気になります。でも人生には多少のハッタリは必要なのかもしれません。どんなに内容が良くてもお腹を壊して説明すらできなければ宝の持ち腐れ。2人はいいコンビになりそう。ただ鷹野さんが無能で働けないのか働かないアリなのか、そこら辺が一緒になってるのが腑に落ちない。