しあわせは食べて寝て待て

こういう人が社長の会社なら、ぜひ働きたいよね。かつて小さい会社の社長って、ガツガツしていて脂ぎっている感じだったけど、実にスマートだし、よく働く人たちのことを見ている。働きやすい環境を作ろうと意識している部分もあるのだろうけど、基本的に善人だという感じがする。

演じている福士さんですが、視線の送り方や小さな表情の変化で、しっかり相手を思っていることが伝わってくる。とても繊細な演技でした。見事な好演だったと思います。

さとこの夢をちゃんと聞いているけど出すぎず自分が支援できることをできる範囲で提案してくれるから気負いがなくて相手も受け入れやすい。やってみたら？とか促すのが上手でこんな上司がいたら部下は伸びるだろうなと思った。

落ち着きがあって大人で、麦巻さんへの気遣いもスマートで押しつけがましさがなくて素敵。麦巻さんのレンタルスペースの件も太っ腹で器が大き過ぎるけど、さらりと自然で気負いがなく、遠慮がちな麦巻さんがわりとすんなり提案を受け入れる説得力があったのも良かったです。

麦巻さんに「団地の力を高める」発言を褒められた時の「でしょ？」って嬉しそうな笑顔が可愛らしかったです。得意げ、ドヤ顔っていうより、ただただ素直に喜んでる感じが伝わってくるのも唐さんの人柄の良さが感じられて良かったです。

鈴さんの家にお邪魔する時の礼儀正しい姿はしっかりした大人の対応で社長をやっている人らしくて良かったです。食事が進むにあたりリラックスしてきて、司に話しかけるところは少しだけ嫉妬心も見えたりしてそれがむき出しじゃないのが大人だなと思ってすごく良かったです。

事務所や鈴さん宅に向かう道中の青葉さんとのやりとりが面白かったです。優しくて器の大きい格好良さと、クスっと笑えるコミカルさのバランスが絶妙。楽しそうな麦巻さんを見た時の安心したような、合点がいったような表情も印象的で、その後移住を勧めたことを謝る展開が唐突なものに見えなかったのも良かったと思います。

大きく生活を変えることを考えた方が良いからと、麦巻に移住の話をしたり、HPを紹介してみせたり、彼女を心配して気遣い寄り添う姿が上司というより友人みたいで、唐の面倒見の良さや優しい人柄が伝わって来たのが良かったです。口調や立ち居振る舞いが落ち着いていて程よい距離感があるからか、押しつけがましさやお節介さ、下心などを感じさせないところも良いなと思いました。

いつもちょっとだけ視線を動かしてさとこの様子を見守っているところが好き。社内だし立場もあるしそれが精一杯だよねっていつも思う。さとこが一緒に出かける相手がいるということに一瞬大きな声が出たのが面白かった。素が出たねとにやにやしてしまった。

「な～んだ」って青葉さんと反応がシンクロしてるのが面白かったです。青葉さんに「ホッとしてる」ってツッコまれてるのも可愛い。悩む巴沢さんに「もっと冒険した方が良い」ってアドバイスしたり、「誰かの助けになれると気が楽」と言う麦巻さんにも「そんなふうに考えたらダメ」と注意したり、普段は上司として人生の先輩として頼もしいけど、たまにチャーミングさが垣間見れるところも親近感が湧いて魅力に感じます。

スランプのマシコに温泉旅行を通じて助言したり、早速温泉に入ろうとする麦巻を「着いてすぐの入浴は負担になる」と止めたりと頼れる上司らしい格好良さと、バンドの担当楽器を全員に「ベース」と即答された時の拗ねた表情のギャップがチャーミングで良かった。マシコと巴沢に散々温泉旅行の文句を言われても「温泉でリフレッシュ出来ると良いよね」と全く気にしていない鉄のメンタルぶりも面白かったです。

目立つ行動はしなくともさとこのことを心配しているのが伝わる。さりげなくみんなとのランチに誘ったり、噂話をする人たちをやんわり制したり、お茶を経費にしてくれたり。男性だから直接的に何ができるわけでもないしここらが精一杯でしょう。

麦巻に病気のことを皆に話してみたらと提案したり、彼女と巴沢の会話を心配そうに見ていたり、麦巻の事情をちゃんと理解していて気に掛けているのが伝わってくるところが良かったです。会話が盛り上がってきたところで麦巻の歓迎会の話を持ち出すのも、唐の空気を読む上手さや周りをよく見ている気遣い屋な人柄が感じられて良かったし、「気とか怖い」ってジャスミン茶を断る繊細さも可愛らしかったです。