極道めし

仮出所当日にヤクザに喧嘩を売るようなダメ男だけど、爽やかな雰囲気の福士さんが演じると何だか魅力的に見えてしまいます。のだめの黒木くんのイメージで真面目な堅い人という印象があったのですが、一平のようなチャラくて喧嘩っ早い男も意外と似合いますね。塩系のルックスだからか、坊主の鬘も女装もヤンキーみたいな恰好も違和感なく何でもハマっていたところも良かったですし、気取らず何でもやってくれるところにも好感が持てます。

最初の頃は控えめで寡黙な印象でしたが、回を増すごとに一平のやんちゃっぷりを発揮して刑務所生活にすっかり馴染んでいて、一平の変化で年月の経過を感じることが出来ます。お調子者だけど常識はあってノリも良くて、根は良いヤツという雰囲気が気取らない無邪気な笑顔から伝わってくるので、荒木たちが看守に土下座して「見逃してくれ」って頼みこむ展開にも説得力が感じられるところが良かったです。

控え目な雰囲気があって塩顔なので、どんな色にも染まれて違和感なく演じられるところが魅力的だと思います。今回の連続殺人鬼の演技も、メイクも芝居もかなり誇張して一歩間違えるとコントのようになってしまいそうなのに、やり過ぎずちゃんとドラマの演技として成り立たせていて、芝居のセンスが良いなあと感心しました。帰る場所がないっていうのも自業自得なんだけど、一平の人の良さが福士さんの演技から滲み出ているから、泣きながらハンバーグを頬張る姿に思わずホロっときてしまいました。

大好きです

3話の女装姿がめちゃくちゃ綺麗で驚きました。こういうキャバ嬢、本当にいそう。鬘をとって男に戻って餃子を食べまくる姿が男らしくて、それまでのお淑やかな姿とギャップが面白かったです。真面目な青年かと思いきや、意外とやんちゃな一面もあってしたたかで、回を追うごとに少しずつ一平の本性を出していくさじ加減も絶妙で上手いと思います。

同室のメンバーが皆個性が強くて演技も濃いので、福士さんの良い意味での普通っぽさと落ち着きがドラマ全体のバランスを保ってくれています。出演者全員があんなにハイテンションで舞台並みの大芝居をしていたら見ている方は疲れてしまうので、福士さんの淡々とした語り口や表情は良い中和剤になっていると思います。