極道めし

「受刑者がうまいもん話をする」というだけのマンネリしがちなドラマですが、目を開けて寝ていたり、会話の途中でいきなり小津にキスをしたり、自分の持ちネタを惜しみなく披露してくらたり、柳沢さんが毎回程よく遊びを入れてくれるおかげでいつも新鮮に見られて、良い意味で力の抜けた気楽に見られるドラマになっていたと思います。話が上手いからうまいもん話にもつい聞き入ってしまいますし、年長組なのにお調子者という厄介なキャラを生き生きと楽しそうに演じている姿も印象的でした。

今回は出演者本人がうまいもの話をするという試みで、柳沢さんがさすがの話術で場を盛り上げてしきってくれ、グダグダにならずまとまった見ごたえのある内容になっていたと思います。相手の話を深く掘り下げてあげたり、ビュッフェをディスった今野さんの発言を「そんなこともないけどね」と笑顔でフォローしたり、さりげない気遣いが随所に見られ、感心しました。

お調子者のムードメーカー的存在感が柳沢さんにぴったりですね。料理話をする時の噺家さんみたいなメリハリのある語りっぷりは思わず聞き入ってしまいます。醤油さしをマイク代わりにしたり布団に寝転んだり、「これってアドリブかな」というような自由で遊び心のある芝居も楽しくて好きです。

柳沢さんの持つちょっとコミカルなんだけどシリアスさもある雰囲気が役柄にぴったりだと思います。回想シーンに合わせて柳沢さんが喋るというシチュエーションがあるのですが、話芸と言っても良いくらい耳心地が良くて感情や状況がよく伝わりました。普段のお喋りの達者さも素晴らしいですが、セリフまわしもさすがです。

自分の持ちネタと坂井としての演技、そのバランスがとても良いなと思いました。何かやってくれるだろうなという視聴者の期待に応えつつ、ドラマの世界観を壊さないところはさすが場の空気を読むのが上手いなと感心します。ジャムってあんなに美味しそうだったっけと思うくらい、幸せそうにジャムを味わう姿もグルメドラマらしさがあって良かったです。