やめるときも、すこやかなるときも

役柄がどう、演技力がどう、という問題以前に、活舌がよくなくて何を言っているか分からないシーンが多数ある主演というのはかなり問題だと思いました。ストーリーが明るいものではなかったので低めのテンションで演じたのでしょうが、そのせいでドラマ自体に対して、基本棒読みで時々唐突にキレる暗い男の話、という印象しか持てませんでした。

この役は藤ヶ谷くんみたいなシュッとしたちょっとミステリアスなイケメンだから許されるんだと思う。みんなが放っておけないイケメンだから拗らせても拗らせても誰かが立ち直らせてくれるんだよね。本人には自覚がないようだから罪深い。

歩道橋のところで飛び降りそうになるシーンはハラハラして緊迫感が表情からすごく伝わってきて良かった。大きな声で、桜子！と叫んでたときは感動したしやっと過去の呪縛から解放された瞬間だった。椅子に座っている桜子をギュ、っと抱き締めたときは優しいオーラでいっぱいって感じがして観ていて心地良かった。

綺麗な顔と綺麗な声でいつまでも見ていたくなっちゃうような藤ヶ谷くんがやるから、悩んでいてもほっとけない！！ってなるだろうけど普通の人なら見向きもされないよね。今の彼女を昔の彼女との思い出の地を巡るってどんだけ自己中なんだよ。藤ヶ谷くんならついて行きたくなっちゃうのかもね。

謎めいた男性役がぴったしでした！優しそうな椅子作り屋さんに見えて、沢山女の人を物のようにとっかえひっかえ扱ったり、彼女を決めたらいきなり大切にするところなど、とても魅惑的で藤ヶ谷さんに似合ってました。

やっと過去の話を桜子にしてくれて、これでようやく本当の恋人同士になれた気がした。傷の秘密も声が出なくなってしまうことも切なくて胸が痛かった。制服姿が素敵で学生時代ならではの初々しい感じが出ていて良かった。

あらすじを読んで勝手に想像したイメージと、実際のイメージが異なっていました。ただ頑なで一途なイメージはとても伝わってきて、改めて見るとこういう事だったのか、と思えてきます。多くは語られない部分が詰まっているように思えて、表現力の高さを感じました。

藤ヶ谷くんのイメージではない傷を抱えた家具職人の役をやっていますが、こんな暗めの設定の役もできるんだと驚きです。抑えめの感情表現をしているところが役に合っていてとても良いと思いました。藤ヶ谷くんに初めて惹かれました。