シグナル 長期未解決事件捜査班

最終回で大山に泣きながら銃を向ける姿が印象的でした。正義感と娘への愛情との狭間で葛藤する岩田の苦悩が荒い息使いや震える手先などから痛いほど伝わってきたのが良かったです。大山の仲間に逮捕された時のどこかホッとしたような表情も印象的で、罪を重ねずに済んだことや中本の呪縛から解き放たれた安心感が伝わってきました。

娘を亡くし憔悴しきった状態で中本と対峙するシーンが良かったです。中本からの圧力に屈して自身の正義感を押し殺してきましたが、失うものや守るものが何もなくなり、自分の信じる道を突き進もうと覚悟を決めたような強い眼差しが印象的でした。

真実を消してしまおうとする上司に逆らえないという自分と、真実を突き止めたいと思っている自分が、揺れ動いている様子が、とても伝わってきます。桜井が死んだ時、健人を掴みながらも、何も語ることはありませんでしたが、その演技は、悔しさ、辛さが、痛いほど伝わってきました。引き込まれました。

口数は少ない係長ですが、本来は非常に熱血漢で、健人君からの反発に同感しながらも上司の命令には従わなければならない中間管理職の心の叫びを少ない台詞の中、表情やちょっとした仕草でうまく表現していると思います。

中本からの圧力と自身の警察官としての信念や正義感の狭間で葛藤する姿が印象的です。6話で、桜井の死を巡って三枝に掴みかかるシーンでは、潤んで血走った眼差しや噛みしめた唇、感情を必死で抑えているような手の震えなど全身から桜井の死を悼み悲しんでいることが伝わってきました。またそういった人間らしい感情を表に出すことが許されない自分の立場への苛立ちも感じられました。いまいち何を考えているのか分からない謎めいた表情がドラマをより面白くしていると思います。