西郷どん

嫌われ役のイヤミな喋り方とあの意味ありげな笑い方は、素でやっているのか分からないが、見ていても本当に不愉快になる程うますぎる。さすがベテランと言える迫力がある演技。

16話で完全復活しましたが、憎らしさと存在感がさらに増していて、斉彬への怒りや憎しみが原動力となっているかのような迫力とパワーが圧巻でした。反論することなど許されないような威圧感、藩の財政を立て直した実績に基づく自信が全身から溢れていて、一言一言に説得力があったのが良かったです。

欲望に満ちた雰囲気が顔の表情やちょっとした仕草など、体全体から嫌らしく出ていて、どうにもならない駄目な藩主の独特な魅力を感じました。
息子の斉彬との命を賭けた勝負の時に見せた、恐怖に満ちた感情表現が素晴らしく思い演技力の高さを感じました。

大河ドラマに出る役者さんは、普段見るイメージと大きく違ってくる印象があります。鹿賀丈史さんもその1人。たまにヒール役で出ていますが、今回の作品のヒール具合が強烈でしたね。鹿賀丈史さんファンの人でもあの役を演じているところを見ると「嫌なヤツ」と思ってしますかもしれません。私もその1人です。

ただそこに居るだけで、存在感がありますね。ゆったりとした口調に、説得力を感じます。また、口元の変化で、何か企んでいるのではないかと思わせるようで、引き込まれます。吉之助の正義感とは、対照的な悪の感じが、欠かせない存在です。

斉彬を見つめる鋭い眼差しに強い憎しみが感じられるところが良いです。座っているだけで緊張感が漂う迫力があります。権力にしがみつく頑固さ、粛清を続ける冷酷さ、底意地の悪さが嫌味な台詞まわしや表情から伝わってきて、真っ直ぐで誠実そうな眼差しの斉彬との対比になっているところも良いですね。

頑固おやじの役を快演されてましたね。斉彬役の渡辺謙さんとともにいい演技でした。

出番は多くないですがキリッと引き締まった表情とよく響く低音の台詞で存在感抜群です。その場にいるだけで場面が締まり、斉彬と対峙するシーンは観ているこちらまで緊張してしまうくらいの威圧感が感じられます。