西郷どん

目立たない存在だったのがここ一番で勝機を逃さず突然腹黒さ全開になったのが素晴らしかったです。その後も怒りまくって抗議に来た人達にただただ同じ言葉をくりかえしうまくかわす戦略、あの憎らしい顔だからこそ余計に腹立たしいです。

さすがはベテラン俳優で、今回の大河ドラマに出演している他の大物俳優さんの演技も素晴らしいですが、佐野史郎さんの落ち着いた品格のある演技が華を添えてるなぁと感じます。
頭は切れるが人間味のない、難しい役どころを見事に演じていて見応えがあります。

教科書や歴史関連本の中でよく目にする、嫌みったらしくてふてぶてしい井伊直弼の肖像画に雰囲気が似ています。
直弼は大老職なので表向きは将軍家の人たちに頭が上がりませんが、敵対する将軍家の人たちに慇懃無礼に振る舞う佐野さんの演技は
絶妙でした。

怪しさいっぱい！
静かなのに凄みがありますね。

これでもかというくらい徹底的に計算高くて憎たらしい役どころを、見事に演じていると思います。これから吉之助の前に立ちふさがる壁として、どのような行動に出るのか見物です。出来るならば最後は目一杯派手にやられる姿が見たいですね。

次期将軍を慶福にするべく、裏から色々と手を回すダーティーな井伊直弼を、抑えた演技で上手く演じていますね！前回の家定が遺言を書こうとしているのを、部下に自分が大老になるように見せる所なんて、見てて”うわ～いやな奴！”と素直に思わせてくれました。これから吉之助との対立が深まっていくと思うので、独裁主義を貫いて、悪役を演じきってほしいです。

声を荒げることもなく常に落ち着いているのに、存在自体に迫力があってその場にいるだけで場面にピンと張りつめた緊張感が生まれるところが良いですね。あまり変わらない表情が何を考えているか分からず逆に怖いです。井伊の冷静さが吉之助の熱血ぶりを際立たせているのも良いと思います。

面長のお顔立ちと切れ長の目が教科書でお馴染みの井伊に似ていると思います。淡々とした口調と表情が何を企んでいるか分からない井伊の怖さを感じさせます。人を小馬鹿にしたような目つきや話し方がヒール役にぴったりで、吉之助の熱さと対照的なところも良いですね。

主人公側にパワーのある配役が多いため、井伊直弼役は、彼らの前に立ちはだかり、弾き返すような俳優さんでないと負けてしまう気がしました。また井伊直弼は、開国したという意味では改革派の先端にいる人物です。改革のため粛清を断行する力強い独裁者のイメージを、繊細な佐野さんがどう表現するかが今後の見どころだと思います。