雲霧仁左衛門4

老中さえ一目置く江戸の豪商、柏屋を見事に演じている。流石の表現力に脱帽。これぞ悪党、と言う見事な演技。顔の筋肉の自在な動かし方、声色の使い分けが冴えている。卑屈と尊大、仮面と本心、軽妙なやりとりに腹芸の座った鉄面皮と、相反する要素を持つ人格を魅力的に演じている。

もったいないというか残念だ。この人にこんな時代劇の典型的な悪徳商人をやらせるとは。この役ならこの人でなくても悪役専門の役者さんでいい気がする。イッセーさんが悪いというより、この役にイッセーさんをキャスティングしたのが悪い。

憎々しい豪商を見事に体現、流石の一言に尽きる。声色のギアチェンジ、表情筋の自在な操作はもはや職人の至芸。相手によってパタリと切り替わる姿勢や所作、深い眼の表情は追随する人さえいないのでは？この人の演技をテレビで見られるのはラッキー。