頭取 野崎修平

紅梅に「資料を隠しているのでは？」と追及された時のしらじらしい否定の仕方や、西條に告発者だとバレた時の「それが何だ」というような冷たい眼差しなど、不正や裏工作が発覚しても全く動じない堂々とした態度が、京極の肝の据わり具合と酸いも甘いも噛み分けてきた経験の豊富さを感じさせて良かったです。表情も話し方も本当にふてぶてしくて感じ悪いですが、そのおかげで野崎の真っすぐさや清廉潔白な生真面目さが際立っていると思います。

寄せ集めの検討委員会のメンバーをゴミを見るような冷めた目で見つめていたり、熱弁をふるう西條にわざとらしく拍手をしたり、いちいち態度が上から目線で、周りの人間は所詮自分の駒だと思っているような冷酷さと狡さが滲み出ているのが良かったです。合併が否決された時の激怒ぶりも、否決されたことよりも「駒が勝手なことを…」というような自分を裏切った重役3人組への怒りのほうが強く感じられ、野崎との本格的な対立を前に京極の自己肯定感の強さと高慢さを再認識出来たのも良かったと思います。

芝居がかった胡散臭い口調や相手を舐めるように見つめる不躾な視線、言葉は丁寧でも相手を下に見ているようなどこか傲慢さを感じる態度、登場しただけで京極のしたたかさや嫌味っぽい雰囲気を醸し出していたのがさすがだと思います。立川や西條に接触する時の相手の反応を探るような眼差しや囁くような口調も厭らしさ全開で上手かったです。