18/40〜ふたりなら夢も恋も〜

世の中の綺麗な部分だけを詰め込んだ奇跡のような世界。シングルマザーの半数が貧困に喘いでいると言われる今、支えてくれる実家があって夢を応援してくれる先輩がいて一緒に笑ってくれる友達がいて恋してくれる恋人がいる。保育園という心強い味方がいて自分の夢に挑戦できる状態も羨ましい。仕事をしていない専業主婦は一日中子供とベッタリで自分のことは後回しで1人で外出さえままならないのになんだか別世界のお話みたい。これが女性が輝く世界か、こうなる日は‥来ないと思う。

確かに有栖も瞳子もその周りの特に女性たちは一生懸命生きているし自分の今と向き合って自分自身を幸せにする方へ力強く生きている。それを見て感動するし、同じ悩みに共感できたりもする。だけどみんなが綺麗すぎないか？有栖たちのことも引っかかって結婚に踏み込めない瞳子は優しすぎるし、そんな瞳子を察して先回りしてこの家を出ていくと言った有栖も出来すぎている。本人の努力もしっかりしているけど、話がとんとん拍子に進む。綺麗すぎると萎えるんだよなー。

一度裏切られたと感じてしまっては同じ温度には2度と戻らない。有栖はこうちゃんとの復縁をキッパリ断り歩き出しました。清々しい最後に有栖の成長を感じました。ただこれはサポートしてくれる人がたくさんいるからできるものでもあるでしょう。その点で有栖はとても恵まれていますね。瞳子も加瀬さんと一緒に歩き出しました。こちらはまだスタート地点なのでどうなるか分かりませんが、透子との間に入って守ろうとする加瀬さんならいい未来があるのではないでしょうか。爽やかな気分になれる1時間でした。

有栖のひたむきさは分かるしすごくいい子だと思う。でも18歳で母になるってもっと現実は厳しいよね。見ず知らずだった綺麗でお金持ちのお姉さんと出会って大きな家でお金の苦労も孤独の苦労も知らないシングルマザーって夢物語でしょ。やりたいことだって中断してるだけで瞳子の後押しがあればいつだって表舞台に立てるくらい夢の近くにいられる。せっかくの問題提起はこれでいいのか？恋だってしたっていいけど、現実はそんなことまで手が回らないはずだよ。

ミルクを吐き戻したり背中スイッチがあったり新生児あるあるが満載で辛かったけど幸せだった日々を思い出しました。やっと生まれて幸せな時をすごしているのに元カレ登場。将来のことにたくさん悩んでやりたいことを中断して周りの人のいろんな意見にも耐えてやっと出産したのに、なんで今こうちゃんが現れるの？男の人ってこういう時俺のことが好きだから産んでくれたんだろうなんて思うのだろうか？赤ちゃんと彼は全く別ものなのに。私なら絶対子供に会わせたくないな。

悪阻もそこまで酷くなく妊娠生活はそこまでリアルに描かないのかなと思っていたから臨場感たっぷりの出産シーンが思ったより良かった。産院に1人で大荷物をもってタクシーで向かうのも、着いてからすぐ生まれないのもリアル。途中でお薬追加とか目を開いて〜とか出産経験者なら自分の経験を思い出すような感覚になったのでは？そんなに苦労して生まれてきた子だもん、かわいくないはずがない。少子化の時代、産んでくれるだけでありがたいと思うのに近所の人の心ない噂っていまだに健在ですよね。有栖と生まれた子の幸せを願っています。

有栖は成り行き上助けてもらえるならって瞳子を頼ってしまうことは分かるけど、市郎はどういう経緯で瞳子のことを信頼しているのかな？男親だからしてあげられることがなくてっていう自信のなさから来るものだと思うけど、親子揃って信用しすぎじゃない？妊娠しながら大学もバイトも休まずってちょっと妊娠舐めすぎかなとも思う。よくばりな女子を応援って感じが見えて嫌かも。休学をあんなに子供みたいに拒まなくても〜と思った。

とうとう父に言わなくてはならない事態が来た。やっぱり父って異性だから言いにくいよね。力あるし何するか分からない怖さはある。だから瞳子に同席してもらって言える機会があってよかったと思う。だけど、亡くなったお母さんを出してくるのはずるいでしょ。お母さんならそんなこと言わなかった、なんてどうして分かるの？思い出の中で微笑むだけのお母さんに何ができる？ここまで一生懸命育ててくれたお父さんにあまりにも失礼で絶句した。歳は関係なくそんな子が親になるなんてありえないと思った。

すごく言い方は悪いけど瞳子は溢れ出る母性を有栖で癒してるって感じがする。ありがたいっちゃありがたいけどこないだまで知らなかった人に頼るっていうのもなかなかないかなと思うし、妊娠の問題ならどんなに若くてもやっぱり親となる2人でなんらかの結論を出して欲しいと思う。シングルで産む決意をした有栖を瞳子が支えるって美談にしていいのかな？これじゃ男は逃げ得じゃない。遠く離れたところから元気かな？なんて心配されたって何の足しにもならないんだよ。男の自己責任はどこにある？ふざけんなって言いたい。

福原さんと深田さんがかわいすぎて見始めたけどこんなに女の人の人生をきっちり描くとは思わずどんどん物語にのめり込んでいった。望まない妊娠をした18歳と、さあこれから妊娠をと思ったらできないかもしれないと言われた39歳。エイズを啓蒙するドラマをやっていた深田さんが今度は遅い妊娠について啓蒙するなんて時は流れたなーと感慨深い。なんで女だけがこんなに悩まなきゃいけないんだろう、特に妊娠させるだけさせといて海外に逃げた男は本当に腹立たしい。法律で裁ければいいのに、と思うけどまだまだ男社会じゃそんな法律も作れない段階なのかもしれない。他人事じゃなくて男性にも見てほしいと思った。