19番目のカルテ

バイプレーヤーとして抜群の安定感ですね。さすが池谷さんです。活舌の良さや表現力は言うことありません。

「こういう看護師さん、いるな」と思ってしまうほど、自然に見えます。池谷さんの場合、どんな役でも同じように思ってしまうのですが。

徳重や滝野への気遣いは一様ではなく、看護師として、人として、人生の先輩として、時々に合わせて発せられているのを感じます。それは脚本の意図をちゃんと理解して演じているからなのではないでしょうか。

院長相手でも「事実は事実」ってズバズバ遠慮なく意見する姿が実に頼もしい。ハキハキとした豪快な語り口のおかげで言葉や態度に棘や陰湿さをが感じられないところも良いですね。「ドア閉めた意味ないですよ」って滝野を窘める時の慮るような表情も、総合診療医の役割も滝野の悔しさもちゃんと理解しているんだろうなあって感じられてとても良かったです。

院長のことを「妖怪銭集め」って呼んでるの、笑ってしまいました。ドラマの題材的にしんどかったり考えさせられたりという展開が多いけど、豊橋さんのドラマの世界観を壊さない絶妙なバランスのコミカルさが良い感じに重さを和らげてくれていると思います。

何てことない世間話ですよって顔で「得たいが知れない」「評判が悪い」って徳重本人に言ってしまうところが、豊橋の大らかさや正直さを感じさせて、この人は信頼出来そうと思えて心強かったです。情報通なのも頼もしい。ズバズバ思ったこと口にするけど、温かみのある声音とさっぱりした口調のおかげで棘を感じないところも良かったです。