全裸監督

実在の人物を描いている本作、業界の特異性や本人のアクの強い人柄、周囲の濃いキャラクターをしっかりと描き切っており、非常に好感が持てる作品でした。主役もさることながら、脇役達の濃さも非常に印象的でした。
全体的にコミカルかつポップに描いていきながらも題材は難しいという、情報量の多い作品だったといえます。
音楽、演出、セリフの言い回し、ストーリー展開、いずれにも一切無駄がない非常に良い作品だったといえます。

実話ベースかつ題材が非常に扱いにくい中で、主役の山田孝之さんの役への作り込み度合いや、セリフまわしが絶妙なバランスとなっているため、シンプルかて観やすい内容になっていると思います。
実在する人物たちを描写していることもあり、過度な表現というよりは全体的にリアリティを重視した描写、カメラワーク、セリフの一つ一つとなっており、写実的かつドラスティックな展開が楽しい作品になっていると思います。

山田孝之さんの監督ぶりが最高で、平成初期にタイムスリップしたかのようにあの頃のテレビ番組や報道の世界がリアルに感じられて懐かしかったです。
昔のテレビはこんなに破廉恥で面白さもエグかったのに今の放送はつまらないなと改めて実感しました。
AV業界にも裏社会との繋がりや経営していく中で複雑な争いがあるんだなと一筋縄ではいかないシーンも見られて貴重な作品だなと思います。
黒木香さんを演じた女優の方も魂が宿ったかのようにそっくりでビックリしました。彼女はこれからも沢山の作品に出てきそうな予感がします。