母の待つ里

葬儀の時出迎え方が親戚のそれで、懐かしくて一気に引き込まれた。夏生の手を取りよく来たと声をかけ泣く姿に、ちよさんが死んだのは本当だったのだと疑念が消えた。地域ぐるみの嘘がほんとと入り混じる。境界線がないところが良かった。

なつおと思われる人物がバス停に降り立った時、お店から覗いてそそくさと身なりを整えドアを開ける。そこからこの町全体のお芝居が始まるのだ。なかなか噛み合わない会話も笑顔で乗り切るってすごいメンタルだよね。戸惑うなつおに向ける笑顔が優しくてとてもいい。

バス停横の酒屋の娘、松永が一歩店に足を踏み入れると懐かしい笑顔で迎えてくれる。昔からの顔馴染みでお父さんには世話になったなどの裏設定もバッチリ入れてきてすぐにその世界に没入させてくれる。第一村人にぴったりだ。