ドクターX ～外科医・大門未知子 第5シリーズ

相変わらず憎み切れないダメな奴の演技はすごい。アドリブのような言い回しも多数ある演技は、一人の役者を超えて、ドラマの世界観が広がる演技力があると思います。
結局の所、大門美知子を心の底では信頼しているが、認めたくない心の葛藤も表情にうまくあらわされているとおもいます。

最終回で晶さんに未知子のノートを見せられた時の表情がとても良かったです。未知子の腕を認めているのは分かっていましたが、あのノートを見た瞬間のハッとした表情から未知子への尊敬の気持ちが芽生えたことが伝わってきました。悪役だけどチャーミングさやコミカルなところもあり、ドクターXに欠かせない魅力的な存在だと思います。

大学の権威を保つため、常にマスコミや内神田会長の機嫌を気にして大門未知子に否定的な部分もありますが、なんだかんだで未知子の実力を認めている感じが良いです。もっと憎らしいように思うような役なのに西田さんが演じると少し可愛らしく見える時もあります。

ドクターXには、なくてはならない存在ですね。悪なのか、大門先生を認めているのか、いないのか。掴み所のないところ。何だかとても憎たらしく思ってしまいます。半面、岸部一徳さんとの絡みは、とても笑えてしまいます。さすがだと思う演技です。

蛭間院長が「忖度させていただきます！！」の響きがなんとも、お金の関わるいやらしい響きがすごい上手いなと思いました。
西田さんは、おとぼけ役も上手いですが、こういう悪大官みたいな役も言葉のニュアンスが上手いなと思います。
秘書とイチャイチャするところや遠藤さんをいじるシーンは、ちょっとやり過ぎかな？と思うところもありましたが、そこは笑いをとる感じで楽しめました。

西田敏行さんの蛭間院長役ははまり役です。お金と女の人に目がなくて、利益のためならなんでもする性格がよくわかります。でも、ちょっと間抜けな部分もあるので憎めなくて。西田さんのアドリブだという、ドラマ中の変なジェスチャーにも笑えます。

西田敏行の演じる院長はある面では強かさを持っているだけではなく、ある面ではユニークな面が有り、ドラマではなくてはならない存在です。やはりベテランならではの演技をしていると思います。
最終的には大門を信頼している存在であると思います。

西田敏行さんは良いキャラも悪いキャラも似合います。
今回は悪巧みをしていますが、表情の作り方が本当に上手くて憎たらしく感じます。
顔自体は柔らかい雰囲気なのに「タヌキ」というのでしょうか、ミステリアスな部分があります。

この方がいないとドクターXは成り立たないというくらい、必要不可欠なはまり役だと思います。アドリブ満載のコミカルな演技も面白くて大好きですが、シリアスな演技の時の冷酷な表情や凄みのある台詞は本当に怖くて、西田さんの緩急のある素晴らしい演技が、マンネリがちなドラマに奥行きを持たせてくれていると思います。