下町ロケット 2018年版

今シリーズではただの父娘という関係だけでなく、技術者同士という新たな関係性が見られたのが良かったです。佃を尊敬する気持ちやライバル同士という複雑な感情、自分の未熟さを痛感して落ち込むなど、様々な感情を丁寧に表現していて、回を増すごとに利菜の成長を感じさせてくれたと思います。素朴な雰囲気があって、そこが下町育ちの女の子っぽくて親しみが持てたところも良かったと思います。

前作から数年たち、社会人になって自立した女性の役柄を演じきった印象が強いです。ただ顔が綺麗なだけではなく、中味の伴った演技が光っていました。お父さんに反抗していたけれど、最後は技術者として尊敬していると泣きながら言った場面では共感して涙が出ました。

航平との圧倒的な技術力の差を目の当たりにした時の表情が良かったです。負けたというショックと大差への驚き、父への尊敬や誇りなども少し入り混じったような複雑な表情をしていて、利菜の技術者としてのプライドと成長が感じられました。素直な良い子だけどあざとさがなく、自然に演じているところも魅力的です。

どんな役柄をしても同じようにしか見えなかったのですが、今回の娘役は良かったと思います。泣きながら父親を怒鳴ったり、悔しい想いを吐き出すシーンは記憶に残り、応援したくなる演技でした。職場で重大任務をはじめて任された時の初々しさも印象的でした。

体育会系で熱いイメージがあるので、夢を持ち続ける熱血な航平と親子という設定に説得力があります。上司に佃製作所を馬鹿にされた時のキッとした強い目線が利菜の気の強さと父への尊敬を感じさせて良いですね。こんな良い子、今どきいるかなというくらい真っすぐで芯が強い性格ですが、土屋さんが演じると爽やかさがあって嫌味がないところも良いと思います。