高嶺の花

最終回でももから初めて「お父さん」と呼ばれた時の表情がとても良かったです。嬉しいというより驚きと戸惑いの気持ちが強く感じられ、高井が背負ってきた罪悪感の大きさが感じられました。ももが生けた花を見て涙する姿は、ももがやっと本来の自分を取り戻した喜びや安堵だけでなく、晴れ晴れとした表情のももの姿に彼女の母の姿を重ねているようにも見え、彼の父としてのももへの愛情が伝わってきて見ていて温かい気持ちになれました。

紳士的で上品でとても素敵です。ももを見つめる優しい眼差しはもちろん、ぷーさんにももについて語るシーンでも表情や口調が温かくてももへの愛情が感じられるところが良いですね。ぷーさんから花を受け取る時の手の差しだし方や「あちらです」とももに方向を示す際の揃った指先など、画面にはっきり映らないシーンでも所作がキチッとしていて美しく、名門の月島家に仕える人間という説得力があるところも良いと思います。

ななに敗れてすべてを失い泣き崩れるももを、今にも抱きしてあげたそうな辛そうな表情が印象的でした。苦しむももに真実を伝えたいという思いと自分の犯した罪の狭間で葛藤する高井の複雑な心境が伝わってきました。自分本位な登場人物が多い中で、ももを愛して彼女のために行動する高井とぷーさんの姿は見ていてホッとして温かくも切ない気持ちになります。

流石に安定した演技なので、安心して観ていられます。裏がある人物像なので暗い印象がドラマを引き締めるような所がありそれがまた面白く感じられます。ちょっとおチャラけた箇所があると息がつけそうだけどそれはなさそう。

ももと一緒にバージンロードを歩いたときも、ぷーさんに土下座して謝るときも、完全に父親の表情になっていましたね。太郎たちに「父親連れて来い」と言われた時の、父だと名乗れない切なさや苦しさが必死で頭を下げる姿から痛いほど伝わってきました。

主人公のことを陰から訳ありではあるがそっと見守り主人公に心から幸せになってほしいという優しさがこめられている演技がとても素敵です。また、とてもセリフが少ないにも関わらずドラマにかかせない名わき役的な存在感がたまりません。

5話で何度もぷーさんのもとを訪れていましたが、所作も姿勢もシャキッとしていて品があり、ももとぷーさんは住む世界が違うということをより強く印象づけていたと思います。ももについて語る時の優しい表情と穏やかな口調からはももへの深い愛情が伝わってきますし、普通の父親として接することが出来ない市松の本音を代弁しているようにも感じられます。

控え目で上品な雰囲気と立ち方、ドアの開け閉めのスマートさが名家の令嬢に仕える説得力を感じさせます。ももの様子をバックミラーごしに見つめる表情が優しげだったり、時には心配して気遣うようだったり、ハメを外し過ぎた時はたしなめたり、父親のような包容力と温かさがあるところも良いと思います。