黒井戸殺し

名探偵の勝呂と一緒に殺人事件の調査をするワトソン的な立場でしたが、勝呂に振り回されたり斉藤由貴さん演じるお姉さんに振り回されたりするところをうまく演じられていたと思います。そしてドラマのクライマックスでは、それまでの人物像からガラリと変わる表情の演技が素晴らしかったです。

原作を読んだことがあるのですが、役と役者さんとのイメージが少し違う気がしました。しかし、これはこれでよかったと思いました。とくにクセのある個性的な主人公に振り回されているような演技が良かったと思いました。

大泉洋さんって､こんなに演技力がある役者さんだったのか！と思い知らされたドラマでした。とくに､謎解きのシーンに入ってからの変容､表情の変化が本当に怖かった。あまりにも感情移入してしまったので､しばらくはCMで見かけても「黒井戸殺し」の続きを見ているような気分でした。

大泉洋が演じる柴が犯人だとは全く見当がつかなかった。柴の姉の幸せを願って自殺しようとし、目から涙が流れる柴の行動には涙が出そうになってしまった。
勝呂の推理を聞いている時の柴の表情の変化の演技も緻密で、ついつい柴に感情移入しそうになった。

ドラマ終盤で勝呂が自分を疑っていることに気付いたあたりからの演技が素晴らしかったです。それまでの勝呂や姉に振り回されるコミカルな表情が徐々に緊張感と焦りが滲んだ表情に変わっていく様が見事でした。抜群のコメディセンスとシリアスな演技、緩急豊かな芝居でドラマを盛り上げていたと思います。