17才の帝国

何が言いたいのかわかんないドラマ

とてもとても個人的な趣味というか癒しをUAの住民に全公開されて、その犯人をあげつらうことなく自分のせいだと身を引く真木くんってどこまでいい人なの？いい人すぎて現実味がなかった。雪は自分と向き合う時間が少なくなっている真木くんに見切りをつけてサチの不満につけ込んだ。こっちの方がよっぽど人間ぽかったかな。サチは大きな十字架を背負うことになった。だけど3年後のサチは何にも失ってなくて何か腑に落ちなかった。

斬新な音楽ととても綺麗な風景が特徴的なドラマですね。そこにどこまでも真っ直ぐで純粋な真木くんがよく似合う。AIのソロンがその真木くんを総理にしてんですよね。鷲田さんでもなく平さんでもなく真木くんを。平さんがなぜ自分じゃなかったのかとの問いに、平さんには真実が一つもなかったからってところですごい衝撃を受けました。今の政治家がアンケートに答えたら誰一人残らないのでは？でもさ、真実ってなんだろうね。一点の曇りもないまま大人になるなんて‥できないよね。

公務員の削減ねー。まぁ面接で私はこれ以外の仕事の能力が無いのでとか言っちゃう人を雇っている価値はどこでもないかなと思うけど、なんでもスリム化するっていうのは何かあった時のリスクもあると思うけどね。なんでもAIに頼って停電したら？有事の時AIが避難所を開設できる？マンパワーを舐めちゃいかん。市の職員を減らすとみんなの幸福度が上がる仕組みも分からん。学校の先生も保安要員としている部分もあるから削減には反対だな。

市の職員の削減という大きな改革に着手した真木総理でしたが、疲弊しながらも面談に一人一人同席するところが彼の覚悟だと思いました。「やめたくない」「なんで私が」という負の話ばかりされるのはきついですよね。でもＡＩ化が進めばそういう未来が他人事ではなくなるということも実感させられます。真木くんが思っていたユキ、という女の子が実は過去の政治の汚職事件に関わったことでおそらく亡くなっていることがわかり、少しぞっとしました。真木君としては無念で仕方なかったんでしょう。でも亡くなった少女をAIでよみがえらせるのはちょっと怖かったです。

真木くんが行おうとする前人的な政治と鷲田さんの行ってきた古くからの政治スタイルがまるっきり正反対で描かれているのが面白い。いきなり議会をなくし公務員も削減する計画をするなど人の反感を買うような政策をズバリとやっていくのにSPの1人もつけず部下とは言え同じ高校の女の子と2人で視察は危なすぎる。街の再開発案はみんなの関心事だからすぐに投票が集まったけど、いろんなことでその都度住民投票していくとなると案外しんどいかもしれない。そして支持率の向上は真木くんの苦労話‥政治で上がらないところが不満だ。

真木君が見せる普通の高校生らしい表情が印象的でした。また総理の孫として参加している鷲田の存在感も際立ってきてよかったです。商店街の再開発について住民投票をポイント制で行う、というのが新しく、そして住民全員の意見が反映される形となり素晴らしい案だと思いました。「１０年議論してきたのを無駄にするのか」というのに対して「これからの１０年を大事にしたい」という視点は今の政治にはないのかもしれない、と気づかされました。真木くんが政治を志したきっかけとなったのが自分がヤングケアラーだった、という話も切なかったです。

17歳の市長、総理かー。難しいだろうな。厨二病が終わったのかどうかって時期での政治はおとぎ話としかいいようがない。その青い理想はどこまで貫けるのか。その熱意はどこまでも真っ直ぐで悪くないと思うけど、視野はまだまだ狭いだろう。大人になるってどんなことかうまくは言えないけれど、大人として経験値を上げたからこそ分かることもある。悪だと思っていたことも悪じゃなかったことだってある。その真っ直ぐな正義が悪い方に向かないように願っている。