ブギウギ

いくつも難しいポイントがあったと思う。まずスズ子が実子ではないということでの様々な想いをどう表現するか。そして水川さんは40歳で、スズ子を演じる趣里さんは33歳だから、親子というには厳しい年齢差をどう見せるか。前者はスズ子に寄せる強い感情を病床ではもちろんのこと、何気ない日常での視線でも、うまく感じられる演技だったと思います。後者は趣里さんが幼く見えるように演じていたのもありますが、母親としての貫禄と強さ、そして寂しさを、感じさせる好演だったと思います。

鈴子がふすまを開けた瞬間にあぁこれはもう長くないと分からなくてはいけないところは難しかったと思うけどしっかりと伝わった。首の傾け方や表情でこれはもうダメだと分かった。番台に座った時の声の張りは違和感があったけど、こんな風に元気に娘を迎えたかったという思いが詰まっていたのではないかと思って涙が出た。

本当はスズ子の方に年齢が近いはずなのに、母親にしか見えないのがすごいし、梅吉とちゃんとバランスが取れているところもすごい。どれだけ弱っていっても芯の強さは変わっていないし、自分の業の深さも自覚しているのが見ていてわかる。スズ子の歌を聞いている姿を見て泣けてきた。

しっかり者のお母ちゃんがすごい板についていて。時々お父ちゃんを叱る声もなかなか迫力あって良い。

子供のために一生懸命なところや少し頼りないお父ちゃんをいなしながらも笑顔を絶やさずシャキシャキと元気に商売に励むところなど、古き良き時代の肝っ玉母ちゃんの要素を詰め込んでイキイキと演じているのがとてもいいですね。

母親役は初めて見ましたがいつもより倍は輝いて見えますね。子供への慈愛に満ちた表情が素敵。本当に子供のことを愛して接しているのが分かります。もしかしたら里親かもという回想もありましたがこの親子ならそんなこと関係ないんだろうなと思いました。