運命警察

「運命は生まれた時から決まっていて、その通りに進む」って言っていたかと思えば、「電話一本で運命が変わる」って言うし、「運命」って言葉がブレブレに使われていてどうかと思う。
でもオーディションでふと鳴った電話の音に集中力を切らしてグダグダになってしまったのは運命通り、だけどそこから「もう一度やらせてくれ」と頼んだみことには運命を打ち破る強さが備わっていた。運命と諦めるよりも、そこより一歩でも進めたみことはもうナナオが手伝ってあげなくても自分で切り開いていけるだろう。

とにかくストーリーが進まない。みんなの運命を監視しているはずなのにこの女の子一人にかかりっきりなのがわからない。この女の子がオーディションで勝ち取った主役なんだから出ずっぱりで出してあげなきゃかわいそうなのは分かるけど物語が膨らまなすぎてつまらない。脚本重視とかじゃなくてとにかくこの江藤さんって女の子にいろんな体験をしてもらうことを重視しているようにしか見えない。泣く演技、恋する演技、気まずい演技。何を見せられているんだろうと思ってしまう。

目には目を！とミスを罰し苦痛を与える恐怖政治は絶対に長くは続かないってことをそろそろゼロも知った方がいいでしょうね。そんなことで人を縛っても逃げられるだけと学習しなかったのはゼロの失敗です。今後非運命分子の人たちと仲良くなったらゼロはどうするのでしょう。全ての運命は決められている、良いことも悪いことも全てがそうだと思うとなんだか頑張る気がなくなってしまいそうだ。知らない方がいいことっていうのもあるのかもね。

目の前に死のうとしている人がいたら救いたいと思うだろうし、そんな良心がないとしても目の前で死なれたくないと思う。ましてお人好しのナナオなら自分の死のきっかけになった人でさえ救いたくなってしまうだろう。それを止めたことで別の人の運命が変わるなんてどうしたらいいのか。いっそナナオを送り込まない方が自然と本来の感じに戻るかもしれないよね。人は他人の一言で化学反応を起こし違う運命を引き寄せる。もともと制御不能だよね。

時間の三分の一をドキュメンタリーに使うから肝心の物語がちっとも進まないという変な作り。ドラマのメイキングに興味がある人には楽しいかもしれないけど、胸キュンシーンのすぐ後に胸キュンシーンの作り方を見せられると興醒めだよね。運命を元に戻すとか言って毎回タラタラとできませんでした！と失敗するのみ。ちっとも話が膨らまないし水野美紀さんの無駄遣いだと思う。設定は面白いけど中身がつまらない。もったいないと思う。

運命は全て決まっている‥。自分が運命とは違うことしちゃった結果がいじめやハラスメントをされることだったとしたら間違った道を行ってるんだと思って違う選択をしたらいいと思うけど、そのいじめやハラスメントに合うことさえ運命だとしたらなかなか辛いな。そうなると加害者の方が正当化されやしないか？幸と不幸のバランスとか言ってることは分かりやすいけど、その地上の人はやってられないよね。せめて自分の人生の中だけでそのバランスとやらを取れる方がいいね。