婚姻届に判を捺しただけですが

若いキャストが多くてストーリー展開もぶっ飛んでる中、木野さんの深みのある温かな演技がドラマの格を上げていたと思います。お婆ちゃんとのシーンがあるから、ドタバタうるさいだけのドラマにならなかった。落ち着きのある低めの声やホッと安心出来るような実家のような落ち着く雰囲気、百瀬や明葉を優しく見守って、時にはさりげなく背中を押してあげる姿、出番は少なくても毎回印象深い演技を見せてくれて存在感がありました。

ドラマは案外こういう地味な役柄が大事だったりします。ベテランの木野さんらしい、ごく自然な雰囲気が主人公である明葉のこじらせた感情を静かに優しく解きほぐしてくれます。それは明葉がなぜこの店を守ろうとしたのかというドラマの原点につながる部分であり、両親よりもそこが明葉のホームで戻るべき場所だという象徴でもあります。その場所の主である以上、木野さんの役はただ優しく包み込む祖母というのではなく、いつか明葉が本当の意味で巣立つ準備をさせる役でもあります。その意味でとてもよい芝居だったと思います。