ひだまりが聴こえる

玉ねぎを刻みながら泣いてしまうシーンがとても良かったです。目を真っ赤にして涙する姿が切なくて、太一と離れる辛さが痛いほど伝わってきて貰い泣きしてしまいました。ノートテイクの回想シーンで見せた愛おしそうな笑顔や、手話で太一にメッセージを送る時の決別を覚悟したような穏やかな微笑みなど、表情の演技がとても繊細で、台詞以上に心に響いてくるところも良かったです。

「太一がいなくても平気」と伝える時の全然平気そうじゃない辛そうな表情や、それでも太一のために精一杯強がる不器用さが切なくて苦しかったです。繊細な表情の演技が本当に上手い。マヤに太一の話をするシーンも、想いが募って力が籠ってきたり時折震えたりと、言葉以上に感情の乗った声音や涙を必死で堪える表情が印象的で、太一の存在が、共に過ごす時間が、航平にとっていかに大切で救いになっていて愛おしいものだったのか痛いほど伝わってきて見応えがありました。

マヤと喋っている時や手話を教えている時など、何をしていても太一のことを思い出して、そのたびに楽しそうな笑顔を浮かべる姿が良かったです。頭の中も心もいつも太一のことでいっぱいで本当に大好きなんだなあって伝わってくる。目尻に皺を作って楽しそうに爆笑したり、「太一は凄いんだ」とマヤに話す時の穏やかな微笑みや愛しげな声音だったり、太一を思う時に見せる幸せそうな姿も太一への想いに溢れていて良いなと思います。

太一と一緒にいる時に見せる、顔をクシャっとさせた笑顔が良いですね。太一のことが大好きって気持ちや傍にいられる嬉しさが溢れていて、見ているこちらまで温かな気持ちになれる。太一にk通しもノートテイクを引き受けて貰えた時の心底ホッとしたような表情や、気が抜けて畳に寝転ぶ姿も印象的で、断られるんじゃないかってずっと不安で仕方なかったんだろうなと、航平の中でいかに太一の存在が大きくて大切なものか伝わってきたのも良かったです。

太一の良さに気付かれたくなくて飲み会で頑張り過ぎてしまう姿も、そのあと疲れてしまってついマヤに本音を話してしまうところも、航平の太一への想いの深さや独占欲、ちょっと拗らせた性格が感じられて良かったと思います。太一のように感情そのまま顔に出ちゃうわけではないけど、僅かな表情の変化に太一が大好きな気持ちや、この想いが成就することはないという諦め、彼の魅力が周囲に知れて誰かに取られるかもしれないという不安を滲ませるところも切なくて良かったです。

女の子と喋る太一を見てる時の嫉妬が滲む表情、初めて魚が釣れた時のはしゃいだ笑顔、無防備な太一にフッと真顔になり空気が変わる瞬間、台詞がないシーンでも表情や醸し出す雰囲気で航平の心情が深く伝わる繊細な演技がとても良かったです。太一が大好きっていう気持ちが溢れていて、一見爽やかで微笑ましくもあるんだけど、ふと見せる陰のある表情に独占欲や嫉妬などの仄暗さを感じさせるところも上手いなと思います。

太一にキスした後の穏やかな微笑みや落ち着いた口調が、拒絶される覚悟や太一から離れようという意志の強さを感じさせて切なかったです。静かにツーっと流れる涙も航平らしくて、目や耳を真っ赤にして顔を歪ませて泣いている太一と対比になっていたのも良かった。屋上で太一から再びノートテイカー募集の紙を渡された時の色んな思いを噛みしめるような笑顔や、顔を背けて涙を拭う姿も、あの告白から航平がどんな思いで日々を過ごしてきたのかが感じ取れて胸にくるものがありました。

太一をお祭りに誘う前にキュっと唇を噛みしめて緊張した様子を見せたり、OKの返事が貰えた時はホッとしたような嬉しそうな顔になったり、普段は控えめで大人しいけど、太一のことになると表情豊かになるのが素直で可愛らしい。美穂のことで太一を問い詰めるシーンも、教えてくれないもどかしさや苛立ち、嫉妬心が物憂いな表情や不安げな眼差し、初めて耳にする強めの口調から痛いほど伝わってきて、その姿が切なくて、観ているこちらまで胸が苦しくなりました。

太一のために作ったハンバーグを「旨い」って言われた時のホッとしたような笑顔が可愛い。食べ始めるまで何処か落ち着かない様子だったり不安げに太一のことを見ていたり、こちらにまでドキドキが伝わってくるような緊張っぷりも初々しくて良かったし「今日の方がもっと旨く感じる」という太一の一言で、さらにパアっと表情が明るくなって嬉しそうなニコニコ顔になるところも、不慣れながら太一のために一生懸命心を込めて作ったんだろうなと、太一を大切に想う気持ちが伝わってきて良かったです。

周りから「そういう人」として過剰に気遣われた時や、向こう側に自分の居場所はないと悟った時の孤独と疎外感を滲ませた表情がとても良かったです。感情的になり過ぎない淡々とした、でも航平の心情が深く伝わってくるモノローグも良いですね。回想シーンを見た後だからか、太一と一緒にいる時の楽しそうな笑顔や軽やかな笑い声もよりグッとくるものがあったし、そんな航平の姿から太一の存在が航平にとってかけがえのないものになりつつあるのが伝わってくるところも良かったと思います。

憂いのある儚げな表情と何処か壁を感じさせる雰囲気が印象的で、ただそこにいるだけで航平がどんな子なのか伝わってくるのが良かった。初めて太一を呼び捨てにする時の少し照れ臭そうで控えめな笑みや、聞こえなくて疎外感を感じた時の寂しさと諦めが入り混じったような眼差し、太一に「話しやすい」と言われた時の驚いたような表情、台詞以上に航平の心情が伝わってくる丁寧で繊細な表情の演技もとても良かったです。