彼女たちの犯罪

次から次へと語られる真実にパニックになっている智明にこれでもかと言葉を畳み掛けるように投げつけるから智明が逆上する。男の人に暴れられる恐怖もある中、それでも黙っていられない気の強さが繭美らしいなと思いました。動きながらのセリフもとても聞き取りやすくて良かったです。

プライドが高く仕事で成功できないなら結婚でと思っていたんだろうけど、その結婚も怪しくなってきて犯罪を犯してしまったからには下りたくても下りられなくなっている状態。端々に発狂しそうな内面を抱えているけど、それを自分自身で抑えている感じが見受けられます。ギリギリが隠し通せなくなってきているところが上手いな。

初めの頃のツヤツヤの髪を優雅に結って流行りの服を着て自信満々だった繭美はもういない。智明のスマホを見ようとしたり、仕事中でも疑心暗鬼な顔が隠せていない。髪もそのままになったしやつれて繭美の滑落っぷりがすごいです。

元々勝ち気でプライドが高い繭美だからこそ仕事を奪われて恋人も愛人のままの現状に我慢できないイライラが募るんでしょうね。思い通りにならないから締め付けるという負の連鎖が悲しい。分かっているけど止められない、止められないのはあなたのせいというジレンマが感じられて哀れです。

由香里に一回も頭を下げないところがプライドの高い繭美っぽいなと思いました。最低限ではあるけれど謝罪の言葉を口にしながらも全然謝っているような表情をしていない。本心は違うからですよね。あくまで自分は知らなかったスタンスだからこその態度だと思いました。

努力はそれなりにしただろうけどあとは運も良く仕事もでき、持ち上げられているうちに若手には煙たい存在になったのかな。大学時代の先輩にアプローチされてもあくまで冷静に、結婚指輪のチェックもさりげなくするところも真面目で抜かりない性格が出ていました。