共演NG

この作品は喜劇のはずで、中井貴一さんの面白さを見せるとすれば、どんな内容がふさわしいかを、視聴者の多くが知っていたはず。それは中井さんの困った様子、困った顔であったと考えるが、間違いだろうか。元カノと嫉妬深い妻への対処に苦労する役者という設定なので、もっと困った様子、困った顔をふんだんに見せることはできたはずではと想像してしまう。秋元康さんの企画・原作が売りだったと思うが、秋元康さんはギャグメーカーの専門家ではなかったようにも思うので、そのあたりが影響したのかも。役者としての中井貴一さんは力量のある人だと思っているので、低評価することに気後れしてしまうが、放送時間と放送回数の不足も一因であるように考える。それでも、コメディをテレビドラマで楽しむのは久しぶりの印象なので、制作側の狙いは理解できた。中井貴一さんにはこの方面でも楽しませてくれる人なので、活躍してほしいと願っている。

自分の職業である役者をそのまま役として演じるという簡単そうで難しい役どころをうまく表現できていてさすがの演技力です。
喜怒哀楽をナチュラルに表現していて、大物俳優感のオーラもだしつつ、大園と妻の間で揺れ動く気持ちを笑いもありながら演じていてすばらしいと思います。

何とも人が良いというか頼りなというか、でも不思議とイライラしない。こんな男性を演じさせたら右に出る役者がいないのではないかと思います。共演NGの元カノ女優と奥さんとの間でフラフラゆれて、こんなに頼りないないのに演技になったらピシャッと決める二枚目の遠山英二。いい味がでています。

少しふっくらした感じがありますが、表情一つ一つがとてもこの役柄にあっています。
驚いたときの表情やにやついた表情が、真剣なシーンになると別人のように変わります。若い奥さんと元カノとの狭間で、あたふたする人物を演じるのは中井さん以外いないでしょう。また時に、しっとりと引き込まれるような演技をするので、そのギャップがこのドラマの面白さの一つとなっているのではないでしょうか。

中井貴一さんと遠山英二はとても似た要素があるため、素演技ができているのではないかと思います。バラエティー番組などで見せる中井貴一さんの明るく、お茶目なところが、このドラマでも存分に発揮されているし、たまに見せるシリアスな演技はやはり名俳優としての貫禄すら感じさせてくれます。中井貴一さんのキャラクターとストーリーとあいまってとても面白いです。

渋くてカッコいいのは昔からなんだけど、私はこの人のテンパってる演技が好き。あっちもこっちもてんやわんやしてる時の感じが面白くて好き。困らせたいNo. 1の俳優さんかもしれない。どっちもできるってあの年代では希有な存在かもしれないね。

一見物腰が柔らかく優しい良い人風ですが、とにかく他人と徹底的に争わないようにしている性格が鈴木京香と絡むと特に強調して表れています。その分、そんな彼が感情をあらわにするシーンの印象が強く残って良いです。

さすが、ベテランの演技力で驚きの表現、共演NGの役者さんと目を合わせた時の戸惑いの眼差し、慌てた口調の裏にある俳優としてのプライドを秘めた言葉、その全てが中井さんだからこそ表現でき、言葉以上に伝える力を改めて感じさせられるドラマです。期待以上です。

中井貴一さんの現代劇のテレビドラマ自体が珍しい印象だから、強い興味がありました。最初の遠山英二の登場シーンの年齢表示を見て、中井貴一さんの実年齢よりも若い設定なので、正直、もう少し若く見せてくれないかなとは思いました。若い頃の遠山英二は「結婚したいタレント・ランキングでも数年トップを維持するなど人気を集めた」という設定ですから、中井貴一さんの雰囲気とは別のキャラという感じがしました。でも、中井貴一さんには味わいがあります、存在感があります。（雲霧仁左衛門シリーズが楽しめるのも同様ですね。）演技が合格点の上で、芸能人としての魅力がしっかりしている人なのだと思います。困った表情を見るとクスッと笑いたくなりますが、これも中井貴一さんの魅力があるからでしょう。（中井貴一さんだから、共演NGの女優役は、相当の方でないと務まらないということでもあります。）演技というよりは、中井貴一さんを見て楽しむことができる、というのが、楽しみになっています、というのが適切かもしれません。