最後の鑑定人

土門の指示に従って薬品の特徴を伝えたり、犯人の笑い声から嘘を見抜いたり、命がかかった切迫した状況でも強さと聡明さを失わない姿が格好良かったです。無事に脱出出来た時に思わず都丸に抱きついてしまう姿も、高倉がどれほどの恐怖を味わったのかが伝わってきて、彼女の気丈さと勇敢さがより強く感じられて良かったです。

弱気になる土門に「尾藤さんを救えるのは土門先生しかいない」「化学の力で真実を突き止めて下さい」と訴える姿が印象的でした。必死なんだけど縋るような感じではなく、真っすぐ土門を見据えて力強く背中を押すような頼もしさがあって、土門なら必ず救えるという信頼と確信が伝わってきて良かったと思います。

相田に差し入れを貰った時の嬉しそうな笑顔や、デリバリーのピザが届いた時のテンションの高さ、鼻の頭にクリームをつけながらシュークリームを頬張る姿など、食べ物が絡んだ時に見せる幸せそうな顔が良いですね。代り映えせず地味で素っ気ない雰囲気の研究室も、高倉の明るい声と笑顔のおかげでパーッと華やいで、場面にメリハリがつくところも良いと思います。

2人きりの事務所であんなに細々と文句を言われ続けたらあんなに明るくいられないと思うけど、それを宥めたりすかしたりめんどくさい子供を扱うようになんとかなり過ごしているのが面白い。しゅうこだから務まるんだよなと思えてしまう。

自信を失くして落ち込んでも、ウジウジと湿っぽくならないのが良いですね。威勢よく土門に啖呵を切ったり、化学の力で何とか家族の絆を取り戻そうと奮闘したり、「人を救いたい、役に立ちたい」という思いが負けん気の強さに繋がる前向きさも見ていて応援したくなります。熱い人だけど、鬱陶しさや押しつけがましさを感じさせず、その一生懸命さがちゃんと高倉の長所に見えるところも良いなと思います。

相田にエクレアの差し入れをもらった時の反応が可愛い。感嘆の声をあげてあんなふうに喜んでくれたら、差し入れた側も嬉しいだろうな。誕生日ケーキを大きな口を開けて幸せそうに頬張る姿も子供みたいで微笑ましくて、サプライズは失敗に終わったけどこの笑顔が見られたなら土門も尾藤も満足しただろうなあって思いました。

大食いキャラが見た目とギャップがあって良いですね。毎回幸せそうな笑顔で美味しそうに食べてる姿がチャーミング。嘘がつけなくて何でもつい正直に口に出してしまうところも、高倉の素直さや真っすぐさが感じられて良いと思います。室田に「科学捜査を舐めないで下さい」って啖呵を切るシーンも格好良かったです。

芝居って表情とセリフだけではない。動きとか仕草というのも大事。そもそも人はコミュニケーションの65パーセントくらい、非言語のしぐさとか間とかで伝え合っている。なのに映像作品で顔のアップとセリフシーンを必要以上に多用するようになったのは、役者が下手だから。

申し訳ないけど、白石さんはまだ顔の表情とセリフだけで芝居をしている。そろそろもう一歩、レベルをあげる時期だと思うので、評価は厳しくしたい。

受けの演技が上手くなったなと思います。土門に振り回されながらの独り言とかは本音がぽろっと出た感じがしてクスッとさせられるし、等身大で共感できます。まずいお茶を出してリアクションを見るところが笑えます。