最後の鑑定人

無駄のない指示となかなか情報が入らず苛立ち気味の口調が、必ず高倉を見つけるんだという気合と焦りを感じさせ、誘拐事件の捜査の難しさと一分一秒も無駄に出来ない時間との勝負なんだという緊迫感が伝わってきたのが良かったです。毎回登場するわけではなかったけど、ベテランの頼もしい先輩刑事として若手の都丸と良いバディを見せてくれて、安定した高い演技力でしっかり存在感を示していたと思います。

容疑者宅へ向かうシーン、早足だったり緊張感漂う引き締まった表情だったり、「絶対に捕まえてやる」という逸る気持ちは伝わってくるけど、見るからに気合入ってますって顔の都丸とは違って、ドンと構えた落ち着きのある雰囲気がベテランらしい頼もしさを感じさせて良かったです。

証拠保管室に侵入しようとする都丸を止めるシーンがとても良かった。都丸が無茶するのをちゃんと察知して待ち伏せしてるのも彼の性格を熟知してる先輩バディらしさが感じられて良かったし、若い都丸の将来を案じて自らが身代わりになるという人間出来過ぎな姿もさらりと嫌味がなくて格好良かったです。

山登りでヘトヘトになって登場したり、尾藤にタジタジになって謝ったり、よく目にする柄が悪くて堅気ではなさそうな役とは違う、人が好さそうでちょっと三枚目寄りな姿が新鮮で良かったです。犯人の取り調べ中に見せた神妙な表情や落ち着いた静かな口調も、捜査に携わった者として犯人が抱えるもの全てを受け止めようとする責任感が伝わってきて印象に残りました。

無断で捜査をする都丸に釘を刺す姿が、バディとしての体裁を気にした上から押さえつけるような感じではなく、彼の将来や立場など、都丸自身のことを心配する気持ちが強く滲んでいるところが良かった。窘めつつも、都丸の覚悟の強さを知ると無理には止めないところも、都丸への信頼が感じられて良かったと思います。

治安の悪い役が多い方というイメージがありましたが、こういう正義感が強くて熱い役も似合いますね。感情的になる都丸を宥めたり諭したり、経験を積んだ先輩だからこその冷静さと落ち着きがあるところも格好良かったです。