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一時期はものすごく怪しく見えたりもしたけど、後輩思いで正義感が強いけど奥さんや同期に対しては気弱で…という何ともチャーミングな人で、実は地底人というオチもついていて、とても印象深いキャラクターだったと思います。いかにもな怪しさと何ともいえない愛嬌、どちらも違和感なく醸し出せるところもすごい。地底人姿もめちゃくちゃ似合っていたし、余興ＶＴＲで触覚を隠すような仕草を見せる演技の細かさもさすがだなと感じました。

まさかの地底人？まあそこは置いておくとして、慎重かつ優柔不断な感じがよく出ていました。でも優柔不断はともかく、慎重なのは悪くないと思います。刑事はそれくらいでないと。冤罪を積み上げられるよりはずっとその方が良い。それにしても体格も良いし、二枚目なのに、情けない感じが本当に似合いますね。それも役者として得難い個性でしょう。地底人オチでの妙なおかしさも、あの人がまさかという意外性だけでなく、どこか真面目で憎めない感じがベースにあったから生まれたのでしょう。とても良かったと思います。

捜査会議で世々塚の死を告げる時の口が重そうな感じや躊躇うような台詞の間が、仲間が殺害された悲しみや悔しさを感じさせてグッときました。暁との同期らしい遠慮のないやりとりも好き。「英語にしただけじゃん」と冷たく突っ込まれたり、「まじめ！」と呼び捨てにされたり、雑に扱われちゃうちょっと情けない姿も親近感が湧いて良いと思います。

こころの実家に聞き込みに行くシーンがめちゃくちゃ面白かったです。ジョーカーに扮した海造を見た時の唖然とした表情や、背伸びして海造を目で追う姿など、突然得体の知れないものが目に飛び込んできた時ってこんな感じなんだろうなって伝わってくる絶妙な演技が最高でした。表情や台詞の間だけで驚きや戸惑いをコミカルに表現しているところも、南十字のキャラを壊さないよう絶妙なバランスを保っているところもさすがだなと思いました。

捜査会議で被害者としてまつりの名前を口にする時の躊躇ったような口調や動揺が、彼女を死なせてしまった後悔や後ろめたさのようなものを感じさせました。飼い犬に振り回されたり、家族の買い物の荷物持ちをさせられるちょっと情けないところなど、人間味溢れる姿が垣間見れたのも新鮮で良かったと思います。

大五郎を取り調べる時の決めつけるような強い口調や机を叩いて怒鳴る姿が、普段の冷静で人当たりが良い姿とギャップがあってドキっとしました。凶悪犯を捕まえたいという正義感の現れにも見えるし、何か思惑があって大五郎を犯人に仕立てようとしてるようにも見えるし、白とも黒ともとれる絶妙な怪しさが滲む演技がインパクトあってとても良かったと思います。

捜査会議中にアイコンタクトで虎松に挨拶したり、口調や態度も距離が近いというか、昔馴染みらしい親しみが感じられて、その短いやりとりだけで二人の信頼関係や南十字の面倒見の良さが伝わってきたのがさすが。はっきりした迷いのない話し方や背筋のピンと伸びた立ち姿も、南十字の真面目で誠実な人柄を感じさせて良かったと思います。