べっぴんさん

悪巧みをしていない生瀬さんを初めて観ました。温かくて思いやりのある、ちょっと過保護なお父さんを声のトーンや目の表情などで見事に表現されていてさすがの存在感でした。最後、静かに何かをつぶやいて亡くなるシーンは胸に迫るものがあり、感動しました。

ドラマの序盤から場面をピリッと引き締める素晴らしい演技でした。娘たちのよき理解者として、また経営者として道を示してくれるこんな父親が欲しいと思いました。実家での兄との確執問題は最初は重いエピソードに感じましたが、その後は関西らしいテンポの良い面白い掛け合いになり、見ていて明るい気持ちになりました。お手伝いさんの忠さんとの掛け合いも面白かったです。

主人公をいつまでも見守る優しい父親でした。ここぞという時にはいつも登場して娘達を助け導き、世間の厳しさも教えてあげていたように思います。家の長としての役割も果たし娘婿達への影響力も大きかったです。早くに妻を亡くした為の責任感は凄いと思いました。

シリアスからコメディまで幅広く演じられるカメレオン俳優の一人です。今回は会社経営者としてバリバリ仕事をこなすも，奥さんや子供達にはシッカリと愛情を注ぐ優しい夫，父親役でした。戦後の混乱の中でどんな逆境でも五十八さんが全て解決してくれる。どこか暖かく，見ていてホッとできました。

生瀬勝久さんはもとから大好きな俳優さんでしたが、今回の役も生瀬勝久さんにはまり役だったと思います。生瀬勝久さんはコミカルというかユーモアのある演技が魅力ですが今回も随所にそのユーモアあふれる演技があり良かったです。

たまにしか登場しませんが，とにかく存在感があります。実業家としては敏腕で頼りになるうえ愛妻家。さらに，妻亡き後は暖かい思いやりを持ちながら男手で一つで娘達を育てるという様々な面を兼ね備えている役柄。登場するとどこか安心できます。

生瀬さんっていつも目をむき出しにするような濃い演技が多いので、今回のお父様役の抑えた演技で印象がガラッと変わりました。最初、生瀬さんだと気付かなかったくらいです。もちろん素晴らしい演技だと思います。お父様が本当に良い事を言うのです。朝から何回ウルッとさせられたことか。

生瀬さんというと上司や悪役、刑事等のイメージがあります。今回は社長と父親役で珍しいなと思いました。父親役のイメージがなく、どうなのだろうと思いましたが、上手だなと思いました。昭和の父という感じで、頼もしさと厳しさ、温かさを感じます。