パンドラIV AI戦争

見た目も佇まいも美しくて話し方も上品だけど、今の地位を確立するまでに酸いも甘いも噛み分けてきたんだろうなというような、したたかさと野心が感じられるところがさすがの表現力だなと感心して観ていました。誰と話す時も口調にどこか棘があって上から目線なところも有薗の人間性を感じさせて良かったと思います。

鈴木の正体を知った時の狼狽ぶりが普段の落ち着きと余裕のある雰囲気とギャップがあり、有薗にとってよっぽど思い出したくない、触れられたくない出来事だったんだろうなと伝わってきたのが良かったです。利用価値がなくなった上野と接する時の冷たい眼差しや、口調は丁寧なのにどこかちょっと見下したような、面倒臭そうな態度が上に立つ者の冷酷さと傲慢さを感じさせたところも上手いと思いました。

「あたくし」という一人称や「ようございましたね」というような普段使わなそうな上品な言葉づかいがとても自然で上手いです。患者をお客様のように丁重に扱っているけど、医療の理想を語る表情などにどこか含みを持たせていて、ただの患者思いの会長ではなさそうな雰囲気がプンプンするところもドラマのスパイスになっていて良いと思います。

口調も雰囲気も上品なんだけど、蒲生へ向ける卑しい者を見るような眼差しやうんざりしたような表情からかなりの曲者っぽさが伝わってくるところが上手いです。女王然とした抜群の存在感が医師会会長という説得力を感じさせるところも良いと思います。

この人は、善玉の役柄の方が好きですが、主役に対抗する病院理事長兼院長として敵対する際に、冷徹な言葉を浴びせる悪玉役も良かったです。冷たい女理事長に風貌も仕立て上げられており、スーツ姿で髪の毛を後ろに束ねてお下げの様に左側にたらす姿で、且つ、目つきが鋭くて役にハマっていました。