ブラックリベンジ

ブラックリベンジでの佐藤二郎さんの演技は、とても良かったです。記事のためならねつ造もするやり手編集長というキャラを見事に演じていて日常生活にこんな上司いやだの典型のような男をコミカルに演じていました。主人公の事を敵と知りながらも利用価値が、あると「いまみー」と馴れ馴れしく呼んでいたり敵となると冷徹な所をだしてきたりとリアルな演技でした。佐藤さんといえば面白いキャラで人気ですが、シリアスな場面も味のある演技をする方だと思いました。

木村多江との最後の対決シーンは見ものでした。自分が罠にはめて、それに絶望する彼女を笑い罵る。演技派だけあって存在感は抜群でした。こんなにも醜い心を持つ奴がいるのかと嫌悪感を抱きましたが、そこは佐藤さんの演技力なんだなと思いました。

こんな人いるいるとツッコミたくなるほど雑誌の編集長役を熱演しています。主人公にリベンジされてしまうのですが、編集長としての態度を貫きました。記事のためなら何でもするよといいながら編集長が、リベンジによって記事にされてしまい記事にされる側の気持ちのつらさを主人公に話すシーンが、切なくて良かったです。敵ながら嫌いになりきれない福島編集長でした。

佐藤二朗さんは、私が今まで見た作品では悪役の立ち位置にいることも無ければ、基本的にどれも面白い役を演じていました。しかし、今回のドラマではゲスな男を演じきっており、今まで知っている役者としてのイメージがガラリと変わりました。

編集長として、世の中のスキャンダルに執着して、どんどん偽りの記事にて注目を浴び雑誌がガンガン売れていくときの佐藤の演技力 あの沙織をどんどん追い込んでいくシーンは今まで見たことの無い佐藤でした。あのベストパートナーだからと天満に言う様、最後は天満に言われたがあの時の表情が忘れられない

かなり面白い名物キャラクターだったけど、最後の最後でゲスな感じが緩和されてしまったのが残念。自殺してしまうのも、これまでのキャラを考えると少し違和感がある。でも、死に際も、なんだかカッコイイ感じもあって、それはそれでこいつのキャラ通りなのかもしれない。

いつものようにちょっとお茶目でコミカルなキャラかと思いきや、とんでもないゲス野郎で、クレイジーでサイコパスっぽさもある役がとても似合っていった。ただ、これ程までのゲスっぷりを物語の中盤で既に晒してしまったということは、こいつはラスボスではないんだろう、次かその次あたりでコテンパンにやられそうで楽しみ。

普段はちょっとふざけた感じの、癖のあるおじさんという役柄が多いですが、ここまで真剣なヒール役というのは珍しいと思います。最初は軽い感じだっただけに、腹黒さが前面に出てくると、そのギャップにとても恐怖を感じます。こういう真逆の演技ができるのは、さすがベテラン俳優さんだと思います。

ドロドロのストーリーと激しい展開のドラマの中で、佐藤二朗さんが演じる編集長が出てくる編集部でのくだけたシーンが息抜きのように笑えます。ちょっとウザい、面白いキャラが佐藤二朗さんにピッタリで面白いです。

『勇者ヨシヒコ』シリーズ・『タクシードライバーの推理日誌』などで、変わった演技をする役者さんだと思って観ていました。それが好きだったのですが、『ブラックリベンジ』ではその演技が今のところ見れず、残念です。まだ「スクープを喜ぶデスク」という初期段階だからだと思っていますが。

いつもおもしろい役所をされている印象で、今回はシリアス系のストーリー中でもおもしろキャラを演じることができるのが佐藤さんならではと思いました。
そんな中で不意に真面目な部分がでてくると、少し不気味に感じるくらいなのがキャラに深みが増し、それが佐藤さんの魅力だと思います。

相変わらずドラマによりよい味を持たせる素敵な芝居をされる役者さんです。実力がある俳優なのは重々承知していますが、それでも視聴者が身近に感じられる特異な存在感を放っています。シリアスなドラマですが、笑いがもらえるのが嬉しいです。