義母と娘のブルース

ほんわかした雰囲気とのんびりした性格が、きっちりとした性格の義母の亜希子との対比だけでも楽しめる所に、亜希子から学んだ巧みな話術を駆使して亜希子の質問攻めをかわす所は最高で、ベテラン俳優の中で堂々とした演技は光って見えました。

素直さを全面に出したナチュラルで飾らない演技が魅力的でした。伏し目がちだったりキョロキョロ泳いだり、キラキラ輝いていたり、生き生きとした目の演技が毎回印象的で、特に最終回で亜希子の生い立ちを聞くシーンが素晴らしかったです。台詞は一切なくただ話を聞いているだけなのに、目を真っ赤にして亜希子をじっと見つめる姿からみゆきが亜希子の愛情の深さを改めて実感しているのが伝わってきて、2人は正真正銘本物の親子なんだなと感じられて、もらい泣きしてしまいました。

ほんわか、のんびりした素朴な雰囲気が可愛らしく、亜希子に大切に守られて育ってきたことが伝わってきます。今どきの女子高生にしては子供っぽくて幼い印象を受けますが、そのおかげで見た目が若い綾瀬さんと並んで歩いていてもちゃんと親子に見えます。大樹くんと一緒にいる時の恋する女の子らしい表情も初々しくてチャーミングです。

「そして10年の時が経て…」という形で話が飛ぶドラマは、役柄の違和感が出てしまいがちですが、自然に演じています。印象的だった「土下座合戦」ですが、少女時代ではありえない少し大人になったみゆきの10年間を一瞬で垣間見させてくれる名シーンでした。子供時代のみゆきが張り巡らせた伏線を、大人のみゆきがどのように回収していくのか今後も楽しみです。

シャープで、凛凛しい綾瀬はるかさんに対して、ほのぼのとして、天然な感じのところが、とても可愛く演じられていますね。そして、存在感も、綾瀬さんに、負けていません。高校生らしく、とても爽やかなところも、とても魅力的です。

大樹から告られて、受験があるからという理由で断ったものの、大樹からの告白に対する感情の表現や、受験が迫ってきて勉強に焦りを覚えるという演技、それから亜季子とは血が繋がっていないことでの苦悩の演技が緻密に演じられているというのが良かった。

高校生のブサイクな寝起きがリアルで良かったです。亜希子のスカートのボタンが弾けて飛ぶというツッコみシーンでも、チラッと見ただけで黙々と朝ご飯を食べ続ける姿は最高でした。学校での姿勢の良さと、颯爽と走る時のスラっと長い美脚が魅力的です。へんに飾らない自然体な感じがふつうの高校生ぽくていいなと思います。

コロコロ変わる豊かな表情が可愛いです。上白石さんのナチュラルな演技とほんわかとした雰囲気からみゆきが素直で良い子に育ったことが伝わりますし、亜希子との良好な親子関係が垣間見れるのが良いですね。何でも完璧な亜希子に対して引け目を感じているような複雑な表情も上手くて、そのあと亜希子に感情をぶつけるという流れが自然に見えたところも良かったです。

今までずっとナレーションだけの出演でしたが、6話からようやくご本人登場でしたね。子役の横溝さんと顔立ちが似ていて目元など小学生のみゆきの面影が感じられて違和感なく受け入れられました。表情豊かでキュートで、高校3年生にしては少し幼い感じがして、大人っぽかった小学生時代のみゆきとは雰囲気が違いますが、この大らかでマイペースな感じが良一を彷彿とさせて良いと思います。

ドラマの冒頭で、別の人物が何人も映っていながら、映っていない彼女のナレーションが入るのですが、とてもとても良かったです。もっとキャリアのある方のナレーションかと思いました。子供っぽくもなく、かといって大人ぶってかっこつけてもいない、素敵なナレーションでした。すでにCMに出ている綾瀬はるかの声でもなく、当然子役の女の子の声でもないとなると、これは誰の声だろう？と考えながらナレーションを聞いていたら、まんまと物語の内容に興味を持ってしまいました。彼女にナレーションを割り振ったのは本当に戦略的だったなと思いました。