越路吹雪物語

55話で久しぶりに登場しましたが、明るく朗らかな姿から想像もつかないくらい変わり果てた姿にショックを受けましたし、主要キャストが青年期から絶頂期に代わった時以上に長い月日の流れを実感させられました。それくらい原さんが演じる温かくてチャーミングな秋子が大好きでした。意識があまりない状態でしたが「コーちゃんは良い子ね」という言葉に昔の秋子らしい温かさと愛情が感じられたのが泣けました。

47話で時子の口から秋子の現在の病状について語られるシーンがありましたが、原さんの姿が一切映らなくても「あの明るく元気だった秋子が…」と切なく辛い気持ちになったのは、原さんがこれまでの出演シーンで朗らかで温かい演技で秋子を魅力的に演じていたからだと思います。包容力がある「日本のお母さん」というイメージを強く印象付けていたので、その秋子が娘の時子の顔すら分からなくなっているという状態がよりショッキングに感じられました。

35話でコーちゃんを抱きしめて「あなたは本当に良い子ね」と頭を撫でるシーンがとても良かったです。じんわりと染み入るような温かい雰囲気があり、その台詞だけでコーちゃんの心の傷が癒されていくのが伝わってきました。朝食のスープを作りながらコーちゃんを心配するシーンも台詞はないのに本当の母親のような深い愛情が感じられ、少ない出番でも表情や醸し出す雰囲気でしっかり秋子の温かい人柄を表現しているのはさすがだと思います。

33話で時子と一緒に新聞記事をスクラップしているシーンが良かったです。宝塚にいた頃と変わらないリラックスした雰囲気から、すでに東京の生活に馴染んでいる秋子の逞しさが伝わってきましたし、大切そうに記事を貼っていく姿からはコーちゃんの本当の母親のような温かさが感じられました。

３２話で東京行きを喜ぶシーンが良かったです。子供みたいに「東京に行きたい」と挙手する姿が可愛らしく、直前のシーンの「お年寄りは新しい土地を嫌がる」という平山の台詞とのギャップがあって面白かったです。コーちゃんと一緒になってはしゃぐ姿は新しいことを恐れずどんどんチャレンジしていく秋子のアグレッシブさ感じさせ、いくつになっても明るく前向きに生きる姿が素敵だなと思いました。

コーちゃんのことを妹のように心配して気にかける時子を見つめる笑顔に嬉しさが滲んでいて、コーちゃんのために奮闘する娘の成長を頼もしく、誇りに感じていることが伝わってきます。穏やかな声や優しい笑顔、親しみのある話し方でホッと安心出来る温かい雰囲気を醸し出しているところも良いと思います。

原さんの持つ温かみのある雰囲気と優しい笑顔が「昭和の良いお母さん」っぽくて役に合っていると思います。親元を離れて暮らしている時に、こんな素敵な人が友達のお母さんだったら毎日のように遊びに行っちゃうよなあと、コーちゃんの気持ちが分かる気がします。秋子に育てられたから時子も優しい性格に育ったんだなという説得力があるのも良いですね。

コーちゃんを本当の娘のように可愛がる姿が温かく、秋子の優しさや懐の大きさが感じられるのが良いですね。２２話でコーちゃんにお母ちゃんと呼ばれて「娘が一人増えちゃった」とおどけるシーンもとても嬉しそうで、無理をしているのではなく、本当に心からの笑顔が戻ってきたというのが伝わってきたのが良かったです。

18話で雄三が亡くなり、「大好きよ」とそっとキスをするシーンがとても素敵でした。落ち着いた表情ですが必死で涙をこらえているのが伝わってきましたし、その分雄三を失った悲しみの深さや愛情がより強く感じられました。

17話で危篤の雄三に寄り添うシーンがとても良かったです。時子に雄三との思い出を話していましたが、聞いているだけでその当時の様子が思い浮かんできましたし、優しい語り口から雄三への深い愛情が伝わってきて泣けました。本当に仲の良い夫婦で最後までお互いを想い合っていたんだなということが伝わってきて、辛い別れの場面でしたが心が温かくなりました。

15話で時子に「タカちゃんと喋った」と報告を受けた時の演技がチャーミングでとても良かったです。包丁を持ったまま大喜びしてはしゃぐ姿が子供みたいに可愛くて微笑ましかったです。原さんの明るくて朗らかな笑顔が岩谷家の幸せさを象徴しているような気がします。

原さんの明るい笑顔と温かい雰囲気が役に合っていると思います。夫を支える頼もしさと、時子と宝塚を観に行く時の少女のようにはしゃぐ可愛らしさのギャップも魅力的です。夫とのラブラブぶりも自然で素敵で、見ていて微笑ましくなります。