越路吹雪物語

48話でステージに立つコーちゃんを見つめるシーンが印象的でした。嬉しそうで誇らしげな表情なんですが、赤く潤んだ眼差しで寂しさが入り混じったような笑みも浮かべていて、ステージで頑張るコーちゃんにお別れを言いに来たのかなと観ていて切なくなり、涙が止まりませんでした。

37話で久々に登場しましたが、昔のようにキビキビとした雰囲気は残しつつも、笑顔や佇まいに年齢を重ねた柔らかさを滲ませていて、演技でしっかりと年月の経過を感じさせてくれたと思います。調子に乗るコーちゃんに「これ、美保子！」と昔のように窘める姿からは、いくつになっても益代にとってコーちゃんは手の掛かる子供なんだなと感じられて、ほんわかした気持ちになれました。

33話でかなり久しぶりの登場となりましたが、子供みたいに甘えてくるコーちゃんに「まったくもう」という嬉しそうな笑顔を向ける姿に母親の愛情と温かさが感じられたのが良かったです。子供の頃一緒に過ごせなかった分を埋めるような、笑顔溢れる幸せそうな姿に胸が熱くなりました。

最初、お姉さんの事ばかりで、あまり次女の美保子には興味が無いのかと、離れて暮らす事になっても、構わないんだ…何故かそう思っていました。
が、しかし、美保子が宝塚音楽学校を受ける時には、浮かない顔で、「反対なのか？」とお父さんに聞かれた時、「だって、また遠くなってしまう…」と言った時の寂しげな表情が、「あ、やっぱり母親なんだなぁ」と感じて、少し嬉しかったです。

濱田さんのハキハキとした台詞まわしやピシっと背筋の伸びた佇まいを見ていると、コーちゃんだけでなく視聴者である自分まで思わず正座してしまいそうになります。躾に厳しいお母さん役になりきっていて素晴らしいと思います。厳しいだけでなく、コーちゃんの寝言にクスっと笑ったり、寝顔を見つめる優しい眼差しから母親の愛情がしっかり感じられるのも良いですね。

いつもはきはきした演技が好きで、濱田さんが出ているとつい楽しみに見てしまいます。存在感のあるキャラを演じさせたら見事だと思います。今回はおちゃらけずにしっとりとした昭和の主婦を演じていましたが、はまっていてさすがだなと思いました。

厳しさの中にコーちゃんへの深い愛情が感じられる、温かさと優しさのある眼差しが素敵です。特に2話でコーちゃんに「お母さん大好き」と言われた時のグッと涙をこらえたような表情が素晴らしく、言葉に出さなくても普段構ってあげられない申し訳なさや、遠く離れて暮らさなければならない寂しさ、愛おしさが伝わってきました。

普段の濱田さんはおっとりとした雰囲気がありますが、今回は低く落ち着いたトーンの台詞まわしが印象的で、しっかりと家庭を支えている頼もしさと包容力が感じられるのがとても良いです。尾美さん演じるお父さんが柔らかく優しい感じなので、少し厳しい雰囲気を感じる濱田さんの演技でメリハリがつき、バランスが良いと思います。