9ボーダー

ウェディングドレスの試着から出てきた時の幸せそうにハニカム笑顔からコウタロウさんの視線が自分に向いてないと分かった時の寂しそうな顔の落差があって切ないなと思いました。そこをあえて口に出さないのが百合子だよなー。最後までいい女すぎるよ。

最後はコウタロウこと悠斗をバシッと振るところが格好いいし、賢明だなと思いました。悠斗の反応は明らかに百合子に対する同情に近いものであり、あのまま結婚なんて、プライドのある本物の女性ならバカにするなという感じでしょう。もちろん彼を自由にする思いやりもあったのは間違いありません。いずれにせよ本当に良い女はこうじゃないとね。演じた大政さんですが、愛情あふれる献身と、ゆえに厳しい決断と、その落差をとてもうまく演じていたと思います。見事でした。

「傍にいるのが私でごめんね」なんて台詞をウエディングドレスを試着した状態で口にするの、辛すぎる。心ここにあらずな悠斗に気付いた時の悲しげな表情も切なくてもどかしい気持ちになったけど、悠斗との破談理由が彼のために身を引くっていうのではなく、「自分の知っている悠斗さんじゃない。これが続くのは耐えられない」と自分の幸せ、自分の気持ちを大切にしたものだったのには救われた気がする。自分をしっかり持っていて潔い決断が出来る、聡明で美しい女性を嫌味なく魅力的に演じていたと思います。

美人で話し方も佇まいも品があって、親近感溢れる下町の大庭家とは全く違う雰囲気で、コウタロウとは住む世界が違うという印象をより際立たせているところが良かったです。悠斗に「いつものオレンジペコで」と言われた時の嬉しそうな笑顔もとても可愛くて、少しずつ元の彼に戻りつつある喜びを噛みしめてるのが伝わってきて良かったと思います。

上品で良いところのお嬢さんがよく似合う。庶民派の大庭家とは違うオーラがあり、だからと言ってとっつきにくさもなく優しくて気が配れる。あれじゃ完璧すぎて文句も言えないよなーって感じ。嫌味が出ないところが憎めない。